デジタルコンテンツを届けるためにアナログのDMが有効な理由

From: ダイレクトマーケティングラボ

2022年06月14日 00:00

この記事に書いてあること

「マーケティングは大切と言うけど、何から手をつければいいんだろう?」そんな疑問にダイレクトマーケティングのプロがお応え。世の中の販促マーケティングの実例から重要なポイントを分析し、明日から使える実践的ノウハウとしてわかりやすくご紹介します!

コロナ禍の影響で、リアルでのサービス提供が難しくなったここ2年あまり、それまでよりもデジタルコンテンツの提供に力を入れてきた企業の方が多いのではないでしょうか。

ただ、「時間をかけて作成したが、1,2回使ったきりになっている」「作ったコンテンツを"見てほしい人"に届けられていない」といった声をよくお聞きします。

そんなデジタルコンテンツを有効に活用するため、今回のコラムではコンテンツの届け方に着目して話を進めたいと思います。

ニューノーマル時代に増えたデジタルコンテンツ

スポーツ、音楽ライブ、フェス、舞台など、無観客イベントをライブ動画配信するといったエンタメ業界はもちろんのこと、三密を避けたネットショッピングの利用が増加している小売業界、教育やヘルスケアといった業界でもデジタルサービスやデジタルコンテンツの提供が増えてきました。

読者の皆さんの中にも、医療機関によるオンライン診療サービスやリクルート社が提供する自主学習型のWEBサービス「スタディサプリ」のお世話になった方がいるのではないでしょうか。また、BtoB分野においても、バーチャル工場見学やショールームツアーといったデジタルコンテンツを作ったよ、もしくは体験したよという方もいらっしゃるかもしれません。

このように企業によるデジタルコンテンツやデジタルサービスの提供が増加している一方で、いくつかの課題も浮き彫りになっています。総務省が実施した調査「ウィズコロナにおけるデジタル活用の実態と利用者意識の変化に関する調査研究(2021)」では、デジタル化が進まない理由として、「情報セキュリティ」、「リテラシー」、「利活用が不十分」、「通信インフラが不十分」及び「端末が十分に行き渡っていない」といった点が挙げられています。

情報セキュリティなどシステム上の問題や通信インフラ・端末といったハード面はよく耳にしますが、せっかく作ったコンテンツなのに、「利活用が不十分」といった課題もあるのです。

もちろん、利活用が進まない理由の中には、サービスを利用する受け手側の「リテラシーの問題」も大きく影響しているかもしれませんが、それだけではなくて、デジタルコンテンツを見てほしい人や利用して欲しい人に、そもそもそのコンテンツ自体が的確に届けられていないのかもしれません。

デジタルコンテンツを届ける効果的な手段は?デジタル?アナログ?

皆さんがデジタルコンテンツを作成し、いざお客様に届けようと思ったとき、どんな手段を使ったでしょうか?CMや新聞広告といったマスメディア以外であれば、WEB広告やメルマガといったデジタルの施策を活用された方が多かったのではないでしょうか?

確かに、デジタルの施策はたくさんの人に瞬時にアプローチできるといった面で、タイムリー性に優れてはいます。メルマガであれば、ほとんどコストもかかりません。しかし、情報が氾濫している現代においては、デジタルの施策で送られた情報は、他の情報に埋もれてしまう可能性も高いです。なぜなら私たち現代人は瞬時に情報の必要/不必要を判断し、そのあとその情報は顧みられることはほとんどないからです。

一方、DMというアナログの施策に目を向けてみると、ある程度のコストはかかりますが、紙のDMは閲覧率が高いだけでなく、手元にも記憶にも残り、情報の保存性といった意味では優れたメディアだということができます。

デジタルとアナログの良いところを組み合わせていきたいですね。

DMにも送る順番がある!?(リコーのDM実証実験)

リコーのDM効果検証実験

リコーでは、eメールに反応しないお客様に対し、紙DMは効果があるのか検証実験を行いました。リコーでもWEBサイトやデジタルコンテンツに誘導する手段は、主にeメール(メルマガ)です。しかし、メルマガを送っても開封してくれるのは13.8%。さらにWEBサイトを訪問してくれるのは全配信数に対してわずか1.5%。残りの98.5%のお客様はWEBサイトに誘導できていないという課題がありました。

そこで、デジタルに反応しないお客様(メルマガ未開封+メルマガは開封するもののWEBサイトには訪問しないお客様)を対象に、セミナー案内を目的とした3パターンのアプローチを試してみることにしました。

一つ目はeメールを送った後さらにeメールを送るパターン。二つ目はeメールを送った後に紙DMを送るパターン。三つ目は紙DMを先に送り、そのあとにeメールを送るパターン。

この結果、色々なことが見えてきました。ポイントをまとめたものが下記の3つです。

POINT1:eメール(デジタル)に反応しない顧客には紙DM(アナログ)でリーチ!

紙DM送付後、電話での調査を実施したところ、75.8%ものお客様から「DMを見た」という声をいただきました。従来のeメール開封率13.8%に対して、今回の実験における紙DMの開封率は5.5倍。eメールでリーチできない顧客へのドアノックツールとして、紙DMは非常に有効なメディアだということが証明されました。

POINT2:紙DMを組み合わせると、サイト遷移率が大幅UP!

eメールと紙DMを組み合わせることで、WEBサイトへの遷移率が3倍以上にUP。逆に紙DMだけでなく、eメールもあわせて送ることで、WEBサイトへのアクセスを手助けしてくれる効果も!デジタルとアナログは組み合わせることで相乗効果を発揮します。

POINT3:紙DM とeメール。先に送るのは紙DM!

デジタルとアナログの組み合わせが効果的だということはわかりました。では、どちらを先に送るか?答えは紙DM。紙DMの後にeメールを送ることで、DMがフックとなり、eメールの開封率もUPするんです。

また、今回紙DMをお送りした方から上司や他のメンバーへ、手渡しや回覧といった「シャワー効果(情報拡散効果)」もありました。紙DMには受け取った方が何らかの行動を起こすコンバージョンパワーがあるのですね。

このように、アナログの紙DMとデジタルのeメールを組み合わせることで、相乗効果により顧客行動喚起率も大幅にUPする。そして更なる相乗効果を狙うには、デジタルとアナログで送る順番も大事だということが検証実験の結果わかりました。

DMにも差別化が必要

さて、デジタルコンテンツに誘導するためにアナログの紙DMが有効という話をしましたが、DMならばどんなDMでも良いのでしょうか?

ご自宅のポストを思い浮かべてください。

手紙に交じってポスティングのチラシやDMもあり、どれが必要か必要でないかを皆さんもより分けているのではないでしょうか?

そうです。DMも取捨選択されるのです。

この時捨てられず、手に取ってみてもらえるようなDMでなければなりません。では、どんなDMならば自分にとって必要だと判断してもらえるのでしょうか?

実はDMも第一印象が大切です。チラシや他のDMに埋もれないために目立つ必要があるのです。

 

まとめ

凹凸感や金銀ホログラムを使ったDM封筒などにも凝った素材が使われているDM、特に自分だけに特別なDMが来たと感じたならきっと皆さんも捨てずに開けてみようとしますよね?そうしたDMは見た目だけでなく、手触りなど五感に響き、特別感を演出してくれ

ただ、そんな高級感のあるDM、制作費も高いんじゃないの?と思われた方!

確かにそうしたDMはある程度コストがかかります。前述のリコーのDM効果検証実験でも触れましたが、DMはすべての人に送る必要はありません。ロイヤル顧客など、本当に届けたい方にターゲットを絞り、かつ費用対効果も考えて送るべきです。 

特別な方へ、特別なメッセージを、特別なDMで送ってみてはいかがでしょうか?

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