トレンドはデジタル×紙!全日本DM大賞受賞作品から学ぶ紙DM活用

2019/07/18
更新日:2019/10/21
トレンドはデジタル×紙!全日本DM大賞受賞作品から学ぶ紙DM活用

「マーケティングは大切と言うけど、何から手をつければいいんだろう?」そんな疑問にダイレクトマーケティングのプロがお応え。世の中の販促マーケティングの実例から重要なポイントを分析し、明日から使える実践的ノウハウとしてわかりやすくご紹介します!

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広告クリエイティブ制作の世界で顧客に強く印象づけることを「刺さる」という言い方をしますが、自社ソリューションを強くターゲット顧客に印象づけたい時に、紙DMがデジタル媒体以上に刺さるポテンシャルを持つことは、今回紹介する事例などからも明らかです。

今回は、紙DMならではの特性を活用した事例をピックアップし、デジタルマーケティングにおける紙DMの役割など、自社活用のヒントを得ます。

1. なぜ今紙DMか?

ダイレクトマーケティングの世界で、昨今紙DMの効果が見直されつつあります。BtoCのダイレクトマーケティング(カタログ通販が典型的)では、Webサイトでの行動履歴を元にしたカスタマイズDMの送付など、「特定の顧客に強いメッセージを伝えたい時」にあえてeメールではなく紙DMを送る動きが出始めています。

また、既存顧客の中でもメルマガではアプローチできない人(メルマガを見ない/配信停止など)へのコミュニケーション手段として紙DMを活用している事例は多くあります。かつて多くの企業が顧客とのコミュニケーション手段を紙DMからメルマガに切換えましたが、その結果「メール爆弾」とでも言いたくなるような各社からのメルマガで、顧客の受信トレイはあふれるようになり、自社のメルマガが埋没してしまったり、果ては配信停止されてしまうことも起きています。顧客を「資産」に例えると、コミュニケーションが取れない顧客は「タンス預金」のようなもので「未運用状態(コミュニケーションを取っていない状態)」ではその価値は増えません。

そのような中で、改めて紙DMの効果的活用方法を探ることは、顧客とのコミュニケーション戦略を見直す良い機会にもなるでしょう。そのための素材として、日本郵便株式会社が主催する「全日本DM大賞」の受賞作を幾つかご紹介して、解説も加えたいと思います。この賞は、紙DMを「戦略性」「クリエイティブ」「実施効果」の三軸の総合点で評価し、表彰しています。https://www.dm-award.jp/judge/index.html

やはり、ダイレクトマーケティングの一環として活用されるだけあって「実施効果」がしっかり評価軸に入っているのも興味深いですね。それでは近年の受賞作からご紹介して行きましょう。

事例1
<データ分析&改善の継続でROI向上!大豊漁祭DM:広告主 網走水産>

網走水産は、2015年秋から1年間、店舗別だった顧客データを統合し、リストを整備しながら、年5回の定期DMで休眠掘り起こし等、テストを繰り返し実施。効果が高かった施策を集約し、2016年お歳暮需要喚起につなげた。RFM分析により顧客をセグメント化し、セグメント毎にDMの訴求内容を変え、需要が多い時期に合わせて2段階で発送。ターゲットを絞ることで発送数を減らしても売上は落とさない、効果的なCRM 施策を目指し、その結果、ROIの大幅な向上につなげた。

https://www.post.japanpost.jp/cgi-dmaward-search/images/2018/201814.pdf

RFM分析結果によるセグメント

  • 購入履歴が3年以内にある顧客
  • 2回以上ある顧客
  • 5万円以上の顧客
  • ギフト需要の多いVIP顧客
  • 4年以上購入履歴がない離反顧客 ※1

解説

この網走水産株式会社のDMは2018年に「銅賞」を受賞したものです。 上記の審査コメントを見ると、紙DM活用のポイントが凝縮されています。

1. 店舗別だった顧客データを統合 → ダイレクトマーケティングの最初の一歩
2. 年5回の定期DM → 顧客への定期的な印象づけ
3. 休眠掘り起こし → メルマガでは効果が出にくい層に働きかけ
4. テストを繰り返し実施 → クリエイティブや送付対象のテストは王道
5. 効果が高かった施策を集約 → PDCAをきちんと回している証拠
6. RFM分析 → 紙DM施策に不可欠
7. ROIの大幅向上 → 投資対効果の証明

優良顧客化にむけた施策

2. デジタルと紙DMのハイブリッド

デジタルにはデジタルの、紙DMには紙DMの訴求特性があります。また、顧客の「体験」という視点から考えると、意志決定に必要な情報を収集するためのチャネル/メディアと、実際に購買を行うためのチャネル/メディアは違うことがよくあります。すべてWebサイトやeメールなどのデジタルコミュニケーションのみで顧客体験を提供できれば、非常に効率的なイメージはありますが、例えば、Webサイトにターゲット顧客を高確率に誘導するには、紙DMの方が効果的かもしれません。

ここでは、「デジタルか紙か」ではなく「デジタルの良さと紙の良さ」の併用について、全日本DM大賞審査員特別賞:クロスメディア部門よりピックアップした事例を元に考えてみましょう。

事例2
<雑誌↔Web↔カタログにプラス1 ロイヤル層狙い撃ちDMで、前シーズン比売上176%!:広告主 集英社>

雑誌と連動した通販事業を展開する集英社は、雑誌コンテンツの新たな活用を模索。本誌の素材を活用し、再構成することで、機動力のある軽量DMを実施。いわゆる通販DMとは一線を画す高品質なクリエイティブで雑誌と連動した企画をダイレクトかつタイムリーに訴求し、Webへ誘導した。その結果、前シーズン売上比176%、レスポンス比137%、DMの平均購入単価は力タログ比116%を達成。カタログ自体のレスポンスも2.88%から4.11%へと上昇した。

https://www.post.japanpost.jp/cgi-dmaward-search/images/2017/201714.pdf

ポイント

  • DM送付客は企画にあった購買志向をもつ会員を抽出
  • DM発送のタイミングとWeb更新時期を合わせ、Webとカタログを連動
  • DMを発送した顧客には、クーポンのリマインドメルマガを定期的に配信 ※2

解説

この事例は雑誌連動の通販サイトへの誘導施策として紙DMを活用した事例です。この事例の場合、カタログのレスポンスも上げる「相乗効果」が出ているのが良いですね。そしてDMの平均購入単価は力タログ比116%というのも見逃せません。通常、通販で単価を上げるのは難しいものなのですが、紙DMの持つ「質感」が単価向上にプラスに作用している事が伺えます。

レンスポンスアップ×単価向上で前シーズン売上比176%はお見事!としか言いようがありません。

また、「本誌の素材を活用し、再構成することで、機動力のある軽量DMを実施」という点も見逃せません。タイミングを逃さず訴求できるツールとしてDMを活用しています。オンデマンド印刷など、軽量DMをタイムリーに制作する環境がどんどん整っている中で、雑誌、カタログ、Web、メルマガに加えて、「軽量DM」という組合せは、今後のトレンドの一つになるポテンシャルを持っていると感じます。

雑誌、カタログ、Web、メルマガに加えて、「軽量DM」という組合せは、今後のトレンドの一つになるポテンシャルを持っている。

3. まずは小さな成功事例を作ろう

ダイレクトマーケティングの世界には、「小さな成功事例をまず作ろう」という格言があります。新しい取組を行う際には、つねに「社内の懐疑的な目」と戦わなければなりません。また、大きな方向性として間違っていなくても(例えば今回で言えば紙DMの活用)、具体的な取組の中では一定の試行錯誤が必ずあり、少しでも上手くいかないと、ここぞとばかりに「だから言わんこっちゃない」などと言う人々もいたりします。そこで、最初から一発勝負のような大規模テストをするのではなく、規模は小さくても早めに成功事例を作り、取組の可能性について社内共有することが重要になります。この時キーとなるのが、「紙DMでなければならない戦略ストーリー」です。

ここでは、その参考事例として全日本DM大賞審査員特別賞:戦略性部門よりピックアップした事例を紹介します。

事例3
<新規加入直後の、契約者本人/親権者向けのコミュニケーションレター:広告主 ソフトバンクモバイル>

(中略)
「親権者DM」はターゲットの分析が進まず、ソフトバンクのサービスを記載する内容にとどまっていた。そこで、改めて親権者の性別や年齢層、契約しているキャリアを綿密に分析したところ、大半がソフトバンク以外の顧客だと判明。親権者から新規契約を獲得するため、内容を変更することとなった。新たなDMでは、紙面の半分を割いて、ソフトバンク携帯同士は通話料が無料となるプランやおすすめの機種を紹介。販促要素を盛り込み、親権者にソフトバンクへの契約変更を提案した。

担当の阿部氏は「今まで新規契約直後のDMは"感謝状"だと捉えていました。しかし、綿密なターゲット分析をすれば、ターゲットに喜ばれる内容にも、新たな顧客の獲得に役立つ販促ツールにもなるとわかりました」と語る。

https://www.post.japanpost.jp/cgi-dmaward-search/images/2012/201202.pdf

解説

この事例は、従来は儀礼的な「感謝状」と捉えていた契約後のDMを、新規顧客獲得のための販促ツールとして活用した事例です。

1. ターゲットの分析が不十分という現場の問題意識
2. 親権者について改めて分析を行う
3. 大半がソフトバンク以外の顧客だと判明
4. ソフトバンク携帯同士(子供と自分)の通話は無料となるプランを訴求し、ソフトバンクへの契約更新を提案 ※3

まさに戦略的DM制作のお手本のような事例なのですが、改善の対象(親権者)に関する問題意識、事実(親権者の大半がソフトバンク以外)の発見、その事実をもとに組み立てた仮説で新DMを制作、というストーリーが明確なことに感心します。この「ストーリーが明確」ということが、紙DM施策の本格展開時に味方を増やすための肝となる部分かと思います。

まとめ

紙DMと聞くと、無差別大量にバラ撒く、「コストが高い」媒体だといったイメージを持っている方も多いようです。しかし、データを活用して適切にセグメントされたターゲットの課題に対し、自社のソリューションがいかに貢献するかを印象づける媒体として、紙DMは現在も、そしておそらく未来においても強力な媒体です。ぜひこれを機会に紙DMが顧客との有効なコミュニケーションツールになり得るかを検討してみてはいかがでしょうか。

【参考文献】

※1「事例で学ぶ 成功するDMの極意 全日本DM大賞年鑑2019」
※2「事例で学ぶ 成功するDMの極意 全日本DM大賞年鑑2018」
※3「事例で学ぶ 成功するDMの極意 全日本DM大賞年鑑2017」
編集:株式会社宣伝会議
編集協力:日本郵便株式会社

コラム執筆者プロフィール
岩井信也
日本ダイレクトマーケティング学会本部理事(事務局長)
(株)ブラックス 取締役
(株)日本能率協会マネジメントセンター パートナーコンサルタント

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