なぜ「デジタル×紙×マーケティング」なのか!?変わる消費者と効果を生むメディアの複合活用【後編】

2020/02/12
更新日:2020/02/12
なぜ「デジタル×紙×マーケティング」なのか!?変わる消費者と効果を生むメディアの複合活用【後編】

トレンドの移り変わりが激しいデジタルマーケティングについて、マーケターが押さえるべきトレンドをまとめました。デジタル変革期に欠かすことの出来ない最新情報をぜひご覧ください。

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前回に続き、アビームコンサルティングで顧問を務める本間充氏のインタビュー記事をお届けします。前編ではマーケティング戦略を変えた技術革新について、さらには「メディアは顧客が決める時代」というお話をいただきました。インタビュー後編では、「もはや紙メディアはデジタルメディアである」と明言する本間氏から、“デジタルも、紙も”利活用して成功をおさめている2つの事例を取り上げ、その凄さに迫っていただきます。

“デジタルも紙も”活用したマーケティング施策

―デジタルデータを活用したディノス・セシールやIDOMのダイレクトメール(DM)の事例(※)はインパクトが高いようです

ディノス・セシールやIDOMの事例は企業にとって驚きをもって受け止められていると思います。なぜならば、両方の事例が効果を出し、しかもデジタルデータとデジタルメディアとなった紙を連携させることで、インターネットだけでは得られなかった新たな価値を創造したからです。もはやデジタルか紙かという議論ではなく、“デジタルも、紙も”という時代です。それらを使い分けるだけでなく、丁寧に組み合わせていくことが重要です。

しかし、メディアが多様化していると認識しながら、ほとんどの企業のマーケティング部門は、メディア別に縦割りの組織構造になっています。面白いのはディノス・セシール、IDOMともにデジタルメディア担当者が新しいことに取り組みましたが、その発端は彼らが電子メールやWebだけで解決できないことに気づいたからでした。両方の事例でともにデジタルと物理的な紙を組み合わせてインパクトを生み出したということは、メディア全体を俯瞰して複合的に使っていけば良いという強いメッセージになったと思います。デジタルVS紙ではなく、双方を組み合わせて使っていくべきということです。

― どのような具体的な効果が出たのですか。

ディノス・セシールではデジタルと紙を複合的に利用したところ、ROI(投資収益率)が104%となり、黒字となりました。IDOMの場合、自動車一台の単価を考えれば、印刷コストはすぐに回収できます。いずれもDMが電子メールに比べて、顧客の反応率が高いところにメリットを感じています。

IDOMが6、7年前の顧客名簿を掘り起してDMを送り始めているということは、顧客との関係性を変えてきているということです。メディアの選定論に陥りがちですが、その根底はお客様との付き合い方にあるということです。

ディノス・セシール、IDOMのDMはともに大量に印刷しているわけではありません。効果から逆算して本当に送るべきターゲットを選定し、顧客一人ひとりに合わせた印刷物を送っています。

ディノス・セシールの事例

通販サイトでカートに商品を入れたものの、購入せずにサイトから離脱した『カート離脱』の顧客に対し、最短で24時間以内にカートに入れた商品を勧めるDMを発送する施策を展開。顧客の購入率が約20%向上した。

https://www.dinos-cecile.co.jp/news/2017/11/01110000.html

https://netshop.impress.co.jp/node/6278

IDOMの事例

中古車買取・販売のガリバーを運営するIDOMでは、現在の自動車の査定額からローン残高を引き、プラスになった顧客に対し、買い取りをオファーするDMを出している。高条件での買い取りを可能にするとともに、中古車販売の売買サイクルを短縮するなどの効果を上げている。

https://markezine.jp/article/detail/29032?p=2

ポイントは消費者行動の把握と活用

― デジタルと紙を複合的に利用するためのポイントを教えて下さい

ずばり、個々の消費者の行動を把握することです。

どんなメディア、どんなコミュニケーション、どんな商品を望んでいるかのヒントは、個々の消費者の行動にあるといえます。全員が違う消費行動を取り、消費価値を感じています。企業やマーケターは原点回帰して、一人のお客様がなぜその商品を欲しているかを理解し、それに沿ったコミュニケーションやマーケティング戦略が求められているのです。

― 個々の顧客の行動分析がより重要になってくるのですね

明治時代や江戸時代は帳簿に誰が何をいつ買ったのかを付けていました。商品中心に何がいくつ売れたかではありません。一人ひとりの顧客を大切に、顧客情報をきちんと管理していたわけです。現在は商品主体のマーケティングから帳簿主体のマーケティングに戻り始めています。ただ、筆で帳簿を書くわけではなく、デジタル技術によって顧客情報を管理する時代になりました。

あらゆる顧客情報がデータ化され、より顧客を知ることが出来るようになっただけでなく、今やデジタルメディアである紙と組み合わせることも可能になりました。デジタルと紙を複合的に活用することで、一人ひとりの顧客と最適なコミュニケーションが取れる時代になったわけです。

そう考えると、”デジタル×紙×マーケティング“で、色々と面白いことができそうです。

(前編も読む)

本間 充 氏
1992年に花王株式会社に入社し、15年間社内のデジタルマーケティングに携わる。現在はアウトブレインジャパン、アビームコンサルティングの顧問となり、多くの企業のマーケティングの支援や、マーケティングのデジタル化を支援。ビジネスブレークスルー大学でのマーケティングの講師、内閣府政府広報アドバイザーなども勤め、産業の発展に貢献。デジタル時代の人に寄り添うマーケティングについて、書籍『シングル&シンプル マーケティング』を宣伝会議から発売。

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