顧客を惹きつける「体験型コンテンツ」のススメ

顧客を惹きつける「体験型コンテンツ」のススメ

トレンドの移り変わりが激しいデジタルマーケティングについて、マーケターが押さえるべきトレンドをまとめました。デジタル変革期に欠かすことの出来ない最新情報をぜひご覧ください。

注目を集める「体験型コンテンツ」、その理由とは?

インターネットを含むデジタルマーケティングの現場には、情報があふれかえっています。膨大な情報の中から、消費者に自社が提供するコンテンツに足を留めてもらい、興味を持ってもらうには、どのようにすればいいのでしょうか?

現在、主流となっているテキストや画像といった一般的なコンテンツだけでは、他の情報に埋もれがちです。他の情報との差別化を図り、自社の商品やサービスをアピールする有効な方法の1つが、「体験型コンテンツ」の活用です。

体験型コンテンツ

体験型コンテンツ導入のメリット

企業が消費者に提供するサービスや商品を、ただ「見て」もらうだけでなく、そこから一歩進んで「体験」してもらえれば、その魅力をより詳しく伝えやすくなります。人間は受動的に情報を得る場合と、能動的に情報収集する場合では、情報の「吸収力」「記憶力」に大きな差が出ると言われています。
「体験型コンテンツ」には、他のコンテンツと差別化を図るだけでなく、サービスや商品を消費者が自ら「体験」することで、「理解」や「気付き」、「納得感」を得やすくなるメリットがあります。また、IT技術を駆使したものも多いことから、デジタルマーケティングとの相性もよく、大がかりな設備導入も不要で、コストのハードルが低いため、企業側も導入しやすくなっています。

体験型コンテンツ導入のメリット

体験型コンテンツの種類とその活用法

では、「体験型コンテンツ」とは、具体的にどのようなものを指すのでしょうか? ここでは、その例として、最近なにかと話題になっている「VR」、「AR」、「MR」を取り上げ、どのようなシーンで活用されているのか、期待できる効果などを整理してご紹介します。

①VR(Virtual Reality) 仮想現実
概要 コンピュータ・モデルとシミュレーション技術を用いて作成した三次元空間を、視覚その他の感覚を通じ、疑似体験できるようにした技術。「HMD(※)」などの専用デバイスを装着することで、コンピュータで作成された仮想空間を、まるで本物のように感じさせる効果があります。
※head mounted display…頭部に装着するディスプレイ装置。VRゴーグル、VRヘッドセットとも呼ばれる。
活用法 ・再現しづらい体験の訓練(津波の避難訓練、消火訓練など)
・行ったことのない場所の調査(建設現場の事前調査など)
・魅力的な疑似体験(宇宙旅行体験、海底探索体験など)
期待できる効果 ・顧客の取得情報向上による契約増ならびにトラブルの回避(不動産の内見など)
・疑似体験の楽しさを通じて実サービス利用を促進(トラベルシミュレーター、ドライブシミュレーターなど)
・社員研修の効果向上(警備会社の逮捕術シミュレーションなど)
②AR(Augmented Reality) 拡張現実
概要 デジタル情報やCGで作った仮想現実を現実世界に重ね合わせ、あたかも現実が拡張したように見せる技術。全世界で8億DLを突破した「Pokémon GO」も、このARを利用したアプリです。
活用法 ・事前シミュレーション(家具配置、メイク、建設現場における大型機器の設置など)
・現実との融合体験
・紙媒体からデジタルコンテンツへの誘導(商品への情報付加、イベントの情報付加)
期待できる効果 ・商品サービスイメージGAPの回避による顧客満足度の向上、売上促進
・作業の安全性確保、業務の効率化
・顧客の取得情報向上による売上増(動画再生、農作物の生産者情報付加など)
・イベント会場の回遊時間増(ARスタンプラリーなど)
③MR(Mixed Reality)  複合現実
概要 CGなどで人工的に作られた仮想世界と現実世界の情報を組み合わせ、確認や操作を可能とした技術全般を指します。CG情報が固定され、操作できないARと異なり、MRでは利用者の動きや操作に合わせ、仮想世界の映像が変化することが最大の特徴です。VRよりも現実に近い疑似体験ができます。
活用法 ・技術研修への活用(外科手術のトレーニングなど)
・事前シミュレーション(建築現場の仮想視察、設備使用の仮想体験など)
・大型機器の設計シミュレーション(自動車、バイクなどのパーツ装着テスト)
期待できる効果 ・再現しにくい状況の技術研修による技術向上(事故対応、手術練習など)
・経費削減(製作費用や現地訪問コストの削減)
・建築現場における作業効率・安全性の向上

体験型コンテンツのサービス事例

では、デジタルマーケティングに、「体験型コンテンツ」は、どのように活用されているのでしょうか? 実際の事例をご紹介します。

(1)商品として提供されているサービス

「ANA VIRTUAL TRIP」(VR) https://www.ana.co.jp/ja/jp/travel/vr/anavirtualtrip/
ANAが提供している、自宅にいながらあたかも一緒に旅行しているような気分が味わえるVRサービスです。旅行者が旅先で「360°カメラ」を使って映像を撮り、インターネットを通じて旅行に行けない人と共有することで、まるで一緒に景色を見ているような旅行体験を共有できます。体力的に移動は厳しい祖父母世代が孫との旅行を一緒に楽しむ、海外のリゾート挙式に同行が困難な人にも参加してもらう、といったシーンが想定されています。
期待できる効果:新規顧客の開拓、今まで躊躇していた旅行への需要喚起

「BEYOND TOKYO」(VR) https://www.ana.co.jp/group/pr/201804/20180406.html
同じくANAが提供する、海外在住の外国人を対象とした日本への疑似体験旅行サービスです。地図アプリやライブカメラなどと違い、音声によるナビゲーションや紹介する場所の情報がまとめて紹介されるなど、実際に訪ねてみたくなる工夫がなされています。
期待できる効果:インバウンド需要の開拓、自社サービスの顧客掘り起こし

「IKEA Place」(AR) https://www.youtube.com/watch?time_continue=5&v=va4lWiGJPt8?rel=0
スウェーデンの大手家具メーカーIKEAは、擬似的に家具を部屋に配置できるARアプリ「IKEA Place」を提供しています。このアプリを使えばオンラインストアでIKEAの家具を購入する際に、約2,000種類のソファーやベッドを置きたい場所に 「試し置き」 ができます。実際に購入しないとわかりにくいサイズ感やイメージを、あらかじめスマホやタブレットを使って確認できるようになっているのです。
期待できる効果:顧客の購買促進、返品などの削減効果

(2)企業や商品への導入用に提供されているサービス

「THETA 360.biz」(VR) https://theta360.biz/ja/
リコーが提供する、360°画像の企業向けクラウドサービスです。360°カメラで撮影した画像を、本サービスを使って顧客に提供することで、企業が扱う商品やサービスをよりリアルに伝えることが可能です。VRゴーグルを併用すれば、立体的かつ没入感のあるコンテンツを視聴可能。例えば不動産物件の内見、自動車の内装紹介、宿泊施設や観光地の紹介など、多くの実績があります。
期待できる効果:入居前後のギャップ解消による顧客満足度の向上、問合せやトラブル対応など営業負荷の大幅軽減、事前の現地情報取得による予約・申し込みの促進

「VRオフィスツアー」(VR) https://www.youtube.com/watch?time_continue=189&v=kJWt68W5l7c?rel=0
豊田ハイシステムが提供する、企業のオフィス見学サービスです。就活生をターゲットに、企業側が執務の様子や食堂など、福利厚生施設の情報を提供するために活用されています。目的は就職前にオフィスの雰囲気を伝え、新入社員の確保につなげることです。人手不足が深刻化する業界で活用が進んでいます。
期待できる効果:就職希望者の増大、就業時のギャップを減らし、離職率を抑制する効果、広告宣伝効果

「RICOH Clickable Paper」(AR) http://www.ricoh.co.jp/software/other/clickablepaper/
リコーが提供するARサービス。本サービスを使うと、カタログやポスター、DMなどの紙媒体から動画などのデジタルコンテンツへ誘導することが可能です。リコー独自の画像認識技術により、ARが比較的不得意とする、文字の多い紙面でも認識できるため、教育分野や企業におけるマニュアルでの活用が進んでいます。例えば、教材や参考書のわからない箇所をスマホで撮影するだけで、講師の迫力あるわかりやすい解説映像を簡単に入手。紙面だけでは伝えきれない情報をユーザーに提供し、高い教育効果をあげています。また、観光地やイベントでのスタンプラリー。ユーザーには楽しい体験を提供しつつ、会場の回遊促進効果も狙えます。顧客の「知りたい・見たい・楽しみたい」に応える、ローコストのクラウドサービスです。
期待できる効果:教育効果の向上、イベント参加者の誘導・回遊促進・満足度向上、商品・サービスへの情報付加による購買促進

「Microsoft Hololens」(MR) https://www.microsoft.com/ja-jp/hololens
マイクロソフトは、専用のHMD(ヘッドマウントディスプレイ)「HoloLens」を使ったMRサービスを日本市場に展開しています。日本航空ではこの「HoloLens」を、飛行機整備士の学習用アプリケーションに応用しており、HMDに表示されたジェットエンジンを分解、部品を取り出すなどの技術教育に活かしています。「HoloLens」を採用する前は、航空機の運行スケジュールの都合などもあり、実物ではなく平面図で学習するのが通常でした。この最新MR技術を活用することで、効率的かつリアルな学習を可能にしています。
期待できる効果:学習効率・効果の向上、経費削減効果

「MR歯科システム」(MR) https://gosoudan.dental-plaza.com/tidings/2017/11/28/1279
歯科医療業界の大手総合商社モリタは、MR技術を使って歯科手術のトレーニングができる「MR歯科システム」を開発しています。このシステムは、CTスキャンなどで撮影した患者の骨、神経や血管の位置、形状を歯科医師のゴーグルに投影して、実際の患部に重ね合わせられます。ゴーグルには手の動きを感知するセンサーが内蔵されており、目の前の画像を自由に拡大したり、カルテを呼び出して表示したりできます。
期待できる効果:手術の精度向上や施術時間の短縮効果

「体験型コンテンツ」とデジタルマーケティングの今後

ネットワークの通信速度向上やスマートフォンの性能向上などもあって、VR、AR、MRの普及はどんどん進んでいます。VR、AR、MRのもたらす効果は、おおむね以下の3つに集約されます。

1.現実ではしにくい仮想体験(危険な作業、接客の練習など)
2.情報の取得(その場にいながらの内見、調査、情報収集など)
3.情報の付加(商品の価格表示、実際に動いているシーンの表示など)

今後は技術の進歩により、映像はさらにリアルに、情報量は増大し、その質自体も上がっていくと考えられます。デジタルマーケティングの世界では、こうしたVR・AR、MR技術を用いた「体験型のウェブサービスやコンテンツ」が、競合他社との差別化を図るために、ますます増えていくと予想されます。

「体験型コンテンツ」とデジタルマーケティングの今後

また、VR・AR・MRに限らず、ウェブやスマホを用いた「体験型のウェブサービス、コンテンツ」も、競合他社との差別化を図るために積極的に導入され始めています。

「LINEサイバー防災訓練」(MR)

http://official-blog.line.me/ja/archives/70753898.html

LINEのアカウント乗っ取りから、自己防衛するための体験型ムービーです。ウェブブラウザで使える技術を工夫し、擬似的に乗っ取りを受けるシーンを再現しています。巧みな画像合成技術で、高い没入感を体験できます。
テキストや画像をただ見るだけでなく、実際に自分で操作することで、広告や宣伝を最後まで見てもらいやすくする効果は「体験型コンテンツ」の大きな特徴です。

まとめ

情報が氾濫するこの時代において、ターゲットとなる顧客に自社の商品・サービスを認知してもらい良さを届けることは、非常に難易度の高いミッションになっています。

そのミッションを達成するカギの一つが、今回ご紹介した体験型コンテンツです。体験型コンテンツならば、これまでにない良質な体験価値を顧客に与え、実際にベネフィットを体感してもらうことができます。

IT技術の進歩により、VR、AR、MRを含む体験型コンテンツでできることは、今後さらに幅広くなっていくのは間違いありません。

常にこれらの情報に対するアンテナを高く張り、「自社商品・サービスの強み」と「体験型コンテンツ」をどう融合して、顧客によりよい価値を提供できるのかしっかりと考えていくことが必要です。



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