CRMの最新事情〜IT化とソーシャルメディア連携~【後編】

2018/09/06
更新日:2019/03/11
CRMの最新事情〜IT化とソーシャルメディア連携~【後編】

トレンドの移り変わりが激しいデジタルマーケティングについて、マーケターが押さえるべきトレンドをまとめました。デジタル変革期に欠かすことの出来ない最新情報をぜひご覧ください。

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前編ではCRM(Customer Relationship Management)の概要と、IT化によってアナログからデジタルへ、そしてさらにソーシャルメディア活用へと進化していく状況をご紹介しました。後編では、普及が進むソーシャルメディアと連携を深めていくCRMの詳細と、今後の展望についてご紹介します。前編はこちら

デジタルマーケティング

リレーションシップ・マーケティングとCRM

CRMとソーシャルメディアの連携を理解するためには、リレーションシップ・マーケティングの概要も知っておく必要があります。CRMはこのリレーションシップ・マーケティングを実現するための考え方の一つであり、より実践的な管理手法と言えるからです。

リレーションシップ・マーケティングは、企業が顧客一人ひとりと長期に渡って良好な関係を継続することで、LTV(Life Time Value:顧客生涯価値)の最大化を図るマーケティング手法です。1980年代に提唱されて以降、その考え方は「顧客主義」として既に多くの企業が導入し、成果を上げています。

CRMの目的もLTVの最大化であることに変わりはありませんが、ITの発展やソーシャルメディアの普及によって顧客とのコミュニケーションはより密接に、そしてリアルタイムなものへと進化しています。テクノロジーの進んだ現代に、リレーションシップ・マーケティングを実現する管理手法の一つがCRMであるとも言えるでしょう。

企業と顧客は従来、店舗や営業マン、WEBを介してコミュニケーションを取っていました。しかしソーシャルメディアの登場によって、企業は顧客との関係性を深めるための双方向コミュニケーションをより積極的に図るようになりました。

これ以降の解説では混乱を避けるため、ソーシャルメディアの公式アカウントに登録した顧客および見込客を「顧客」、それ以外のソーシャルメディアを使う人たちを「ユーザー」と呼んで区別します。

CRMとソーシャルメディア連携の実践方法

ソーシャルメディアを使ったコミュニケーションの特徴としては、ネットワークを介した密接さ(距離感の近さ)や、リアルタイム性が挙げられます。従来は一部の限られた顧客だけが企業とコミュニケーションを取っていましたが、ソーシャルメディアではその特性上、より多くの顧客が情報の発信を行うようになりました。

ソーシャルメディア全体では、多くのユーザーによって企業の商品やサービスなどに対する情報が日々発信されていますので、例えばソーシャルリスニング(※)・ツールなどを使うことで多くの情報をモニタリングすることができます。商品やサービスなどに対する肯定的な意見だけでなく、否定的な意見や中立的な意見、商品への要望やサポートへの苦情、広告に対する感想に至るまで、ありとあらゆる情報に耳を傾けることができるのです。

ソーシャルリスニング・ツールに「会社名」「商品名」「ブランド名」「競合の社名」「競合商品」などのキーワードを入れておけば、ユーザーがどのような発言をしているか、リアルタイムで一覧表示してくれます。公式アカウントから得る顧客の趣味、嗜好、意見、個人が属するコミュニティーや友人関係はもちろん、顧客ではない人(ソーシャルメディアのユーザー)の考えをリアルタイムに収集することで、商品開発や販売活動、経営戦略に活用することができます。

CRM活用による相互連携の図式

活用事例(1)

ある旅館では、以前は従業員の手書きメモ帳で管理されていた顧客の好みなどの詳細情報を、データとして宿泊者データベースに統合し、顧客に合わせた最適な情報を載せたDMを送ったり、再訪時には好みに合わせたおもてなしをする、という施策を行っていました。

その中で現在はソーシャルメディアでのコミュニケーション強化を推進しており、実際に旅館やサービスを利用した顧客の投稿に返答してエンゲージメントを高めたり、意見を積極的に取り込んでサービスを向上させる、あるいはDMで訴求するポイントを変える、といった試みを始めています。

このように元々ある顧客情報に「生の声」というデータを統合することにより、より顧客の嗜好に合わせた最適でタイムリーな対応を実現する「CRMとソーシャルメディアの連携」は今後もどんどん広まっていくでしょう。

活用事例(2)

モバイル通信業界のある企業では毎日2回、数百のキーワードでソーシャルメディアをモニタリングし、分析結果を関係部署に展開して情報共有を行っているそうです。例えば、新しい料金プランや、新たな事業の取り組みを発表した際にもユーザーの反応をリアルタイムで把握。データベースに集約した結果を分析して、施策の改善につなげています。

かつては街頭での無作為なアンケートや調査会社に依頼して手に入れていた情報が、ソーシャルメディアを活用することではるかに効率的に、そしてタイムリーに利用することができるようになっています。

※ソーシャルリスニング…ソーシャルメディアから顧客の生の声を収集、調査・分析し、マーケティングに役立てる方法

今後のCRMの展望

CRMシステムの「モバイル化」

全世界のスマートフォンの出荷台数は、2019年までにフィーチャーフォンの4倍に達すると予想されています。また、モバイル機器からインターネットへアクセスする人の割合は、2009年には1%に満たなかったものが2017年には50%を超えるまでに増加し、現在もその勢いは衰えません。パソコンからモバイルへのシフトも顕著で、世界は全体的に「モバイル化」しつつあるといっても間違いではないでしょう。

CRMシステムも、モバイルからのアクセスを前提としたものに進化しつつあります。

例えば、世界的にクラウド型CRMツールを展開するセールスフォース・ドットコム社では、モバイル用のSFA(Sales Force Automation)アプリ「Salesforce1」、ウェアラブルデバイス用のプラットフォーム「Salesforce Wear」をリリースし、CRMのモバイル化を牽引しています。

このようなモバイルに対応したツールを使えば、いちいちパソコンを開くようなことをしなくとも顧客との商談情報はもちろん、サンプルの写真や動画のデータなども即座に共有することができます。

スマートフォンや、スマートウォッチなどのウェアラブルデバイスから情報が入力、発信できることの利点は、リアルタイム性にほかなりません。顧客やユーザーの情報発信がリアルタイム化していくなかで、企業側もその対応が迫られているのです。

ビッグデータの活用

また、ソーシャルメディアとの連携が進むCRMには、ビッグデータへの対応も求められます。モニタリングして得られた膨大なデータは、そのままの状態ではまったく意味がありません。CRMシステムが必要とするデータに加工し、商品開発や販売活動、経営戦略に活かせるようにする必要があるのです。

今後はビッグデータの解析や加工にAI(人工知能)を導入し、より効率的に、リアルタイムに利用できるように進化していくものと思われます。

まとめ

今までは家庭に1〜2台だったパソコンがスマートフォンに置き換わり、インターネットはより身近な存在になりました。自宅にいなくても、外出先や移動中でもインターネットにつながったままの状況が、ごく普通になりつつあります。そしてソーシャルメディアを通じて、個人と個人、個人と企業を密接なネットワークでつないだのも、スマートフォンだと言えるでしょう。スマートフォンはソーシャルメディアの普及とともに、コミュニケーションの双方向性とリアルタイム性に革命をもたらしました。

CRMは今後もこのようなテクノロジーの変化に対応し、分析力やリアルタイム性を取り入れてさらに進化していくことでしょう。

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