BtoBマーケティングの基本は「組織的対応」!

From: ダイレクトマーケティングラボ

2019年02月07日 00:00

この記事に書いてあること

BtoB企業のマーケティングには、BtoC企業とは異なる戦略が求められます。本コラムでは抑えるべきポイントやツール、手法など、BtoBマーケティングの基本をわかりやすく解説します。マーケティングを始めたばかりの方も、これを読めばバッチリ!

今回から連載するコラムでは、主に企業間取引を行っている企業(BtoB企業)のマーケティング/営業部門や、その活動を支援する情報システム部門の方々の実務に役立てられるよう、BtoBマーケティングの基本的なプロセスや、デジタルマーケティングやAIの活用などの今BtoB企業の担当者が押さえておきたい最新のトレンドもご紹介していきます。

第1回目のテーマは「組織的対応」です。

Q:「そもそもBtoBマーケティングって何?」

A:「企業間取引(B to B)の特徴に合わせたマーケティング活動のことです!」

マーケティングを語る際に、BtoBマーケティングとBtoCマーケティングという区別の仕方があります。ここで、「B」や「C」が何を指しているのかですが、Bは「Business(企業)」、Cは「Consumer(消費者)」です。

ですから、BtoCマーケティングは企業が消費者に商品やサービスを売るためのマーケティング、BtoBは企業間取引におけるマーケティング、ということになります。

この、企業向けなのか消費者向けなのかという区別から、一般的には下記のような傾向の違いとしてよくまとめられています。

BtoBマーケティングとBtoCマーケティングの比較

本コラムでは、このようなBtoBマーケティングの特徴が、実際に顧客とのコミュニケーション上において、BtoCマーケティングとどのような「動きの違い」をもたらすのかを、具体的に見ていきたいと思います。

Q:「企業と消費者とでそんなに違いがあるのかな?」

A:「個人ではなく組織を相手にしたアプローチが必要になります!」

BtoCは多くの場合、顧客は「個人」で、意思決定にかかる時間も「衝動買い」や店頭での「ついで買い」などに見られるように短いことが多く、購買への考え方も感情的で単発的な傾向が見られます。BtoCのマーケティングでよくある手法であるテレビCMやWEB広告、店頭ポップなどは、この特徴を踏まえて、見ている人の感情を揺さぶり、今すぐ買いたい気持ちにさせることにポイントを置いています。

一方、企業間取引を行うBtoBマーケティングにおいては、相手は個人ではなく「組織」です。また、その組織には「購買の窓口になる担当者」、「意思決定権者」、「ユーザー部門」などの関係者が複数存在します。そして取引は継続性を持ち、取引相手との関係性を個別に深めていく事(営業用語でいうところの「深耕」です)が求められます。そのため顧客企業とのコミュニケーションを行う専門部門、つまりセールス/営業部門が独立していることが多いのがBtoBマーケティングの大きな特徴です。

BtoCでも、住宅、自動車、高級ブランドなど、取引額が高額で意思決定権者が複数(家族など)おり、購入後の関係も長期に渡る場合もあります。

そんなBtoB取引において、かつてマーケティング部門は、主に「市場動向の調査」・「ブランドや商品/サービスの知名度を上げる宣伝活動」などを担い、営業部門とは独立した上流工程のような位置づけで活動をしていました。

しかし、昨今ではこのような役割分担ではなく、マーケティング部門と営業部門が協力し、企業全体で活動を行うことが重要視され始めています。それは、営業が「属人的営業」から「ソリューション営業」へと進化を迫られたことと大きく関連しています。営業担当者「個人」がいかに担当企業に食い込んでいくかが勝負だったものが(今でもそういう側面がなくなったわけではありませんが)、顧客のニーズが複雑化、高度化するにつれ、「自社が売っているのは製品やサービスではなく、顧客企業が抱える課題を解決するソリューションである」というソリューション営業のアプローチが台頭して来たのです。

BtoBとBtoCマーケティングのプロセス

ソリューション営業においては、例えば下記のように、

マーケティング部門

  • 顧客企業がターゲットとする市場のトレンド
  • 顧客企業の顧客(最終顧客)のニーズの変化
  • 上記に顧客企業が対応するための自社商品/サービスのソリューションとしての位置づけ

営業部門

  • 顧客企業における各部門のニーズ
  • 顧客企業の購買プロセス
  • 上記と関連して顧客企業が抱える悩み

それぞれの部門が協力してデータを集め、双方の情報をもとに顧客企業の各購買プロセスのキーマンに、営業部門とマーケティング部門、時には技術部門など適切な情報提供を行える自社人材を同行してヒアリングするなどして、商品・サービスの良さを伝えるだけではなく、課題解決のためのあらゆる支援を行います。

Q:「先方の窓口担当者から要望を聞いてくるだけではダメってこと?」

A:「意思決定権者やユーザー部門は違う意見を持っていることも!」

ソリューション営業においては、取引企業の内部でどのようなニーズに基づく意思決定をなされているのかを、より詳細に知り、提案に反映させる必要があります。

例えば企業がソフトウェアを導入する際、直接の購買窓口担当者以外に、ユーザー部門(使用者)、情報システム部門(意思決定者)などが登場します。
ここで、購買窓口担当者は「エビデンス提出や費用対効果算出など、決済のための社内提案をサポートして欲しい」、ユーザー部門は「利用イメージがもっと湧くようにして欲しい」、情報システム部門は「トラブル対応はきめ細かくしてもらえるのだろうか」、とそれぞれ別々の関心事=ニーズを持ちます。

これらのニーズに対して、どのタイミングで誰にどのようなアプローチをするのか、という全体像を描いて活動することが重要です。営業担当個人のセンスだけではなく、組織的なマーケティング&セールス活動としてプランニング、実行される必要があります。

下表を見て下さい。

各購買プロセスにおける関係者ごとのニーズの違い

顧客企業が商品/サービスの導入を検討する段階から、導入に至るまでを例えば4段階で区切った際に、意思決定権者、購買窓口担当者、ユーザ部門などの顧客企業の関係者たちが、どのような関心事を持っているかの例を表にしたものです。

これを参考に、自社の取引先について、縦に購買プロセス(各社固有のものがあるので営業は確認する)を、横に関係者(実際には具体的な名前と役職を入れる)を並べ、各ステップで誰がどのような関心事を持ち、それらに対して自社のどの部門がどのようにアプローチできるかを整理してみて下さい。

この表をもとに、具体的な顧客対応のプランニングを行います。また、この表を使って各部門の協働の必要性を明確にすることで、時に縦割りになりがちな自社のマーケティング部門と営業部門などの関係部門とのコミュニケーションも図れます。

Q:「取引先から新商品開発のコンセプトづくりの相談を受けたんだけど、それってウチの仕事かな?」

A:「対等なビジネスパートナーになる大きなチャンスです!」

BtoBマーケティングは、突き詰めれば、「顧客企業のビジネス上の課題に共に取り組むパートナーとしての活動」です。顧客の顧客、例えばBtoBtoC企業であれば最後のCに対する価値の提供に共に取り組むことが、BtoBマーケティング上の競争力を生みます。

自社の商品・サービスそのものの価値だけではなく、市場調査、ターゲット顧客の選定、提供価値の商品化、提供後の満足度調査といった顧客企業のマーケティングサイクルにつながるような商品・サービス以上の価値を伝えること、それこそが下請けの別名ではない、文字通りの「パートナー企業」としてのBtoBマーケティングの在り方でしょう。

例えば、より正確な最終顧客ニーズの把握、それに基づいた顧客企業が提供する価値の商品化に対して、自社が提供できるソリューションの提案、最終顧客への満足度調査からさらなる改善テーマの発見、といった取り組みです。

このような活動をするパートナー企業の中には、顧客企業との新製品の共同開発にまで関係を深めている企業も多くあります。

顧客の顧客を見据えた提案

※リコーの考えるCustomer’s Customer Success

まとめ

BtoBマーケティングとBtoCマーケティングの違いは、企業(組織)を相手に行なっていることから生じるものです。

1.顧客企業への組織的対応を可能にするための、各部門の役割の明確化と連携を図る

2.顧客企業の購買プロセス、意思決定に関与する部門、担当者のニーズを把握する

3.顧客企業が抱えている課題の把握。その際、「顧客の顧客」への価値提供を意識する

上記を念頭におき、顧客企業にタイムリーで最適なソリューションを提供するための取り組みを継続的に行うことが重要でしょう。これらの体制を作ったうえで行う具体的なマーケティング施策や、連携をスムーズに行うツールなどに関しては、また次回以降触れたいと思います。

 

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