PDCAサイクルの失敗事例から学ぶ!回し方のポイントとは?

From: ダイレクトマーケティングラボ

2019年12月27日 00:00

この記事に書いてあること

マーケティングや販売促進に携わる方に向けて、これだけは知っておきたい!押さえておきたい!マーケティング用語を集めました。
基礎から応用まで、多岐にわたる用語を活用例なども含めてご紹介いたします。ぜひご活用ください。

PDCAサイクルという言葉は知っていても、実際どのように活用すべきなのかよくわからない方も多いのではないでしょうか。もしくは、以前取り入れたが失敗してしまったという方もいらっしゃるかもしれません。

この記事では、あらためて「PDCAサイクル」とは何か、なぜ必要なのかを解説し、具体例を通して、実際の進め方をご紹介します。失敗の原因や、うまく回すためにおさえておきたいポイントも解説しますので、ぜひ業務の改善や効率化にお役立てください。

「PDCAサイクル」とは?

PDCAサイクルとは、「Plan(計画)-Do(実行)-Check(評価)-Action(改善)」という一連のプロセスを繰り返し行うことで、継続的な業務の改善や効率化を図るための手法の一つです。

PDCAサイクルを日本に伝えたのはアメリカの統計学者デミング博士。主に生産管理や品質管理などの生産現場で使われていましたが、今では個人・組織を問わず「成長し続ける」ための手法として、ビジネスやスポーツ業界などあらゆる活動の中で活用されるようになっています。

もちろん、マーケティング活動もその中のひとつです。企業が成長し続けられるよう効果的なマーケティング活動を展開するには、PDCAサイクルを繰り返し回すことが大切です。ビジネス成功のために、まずはゴール(目的、目標)を定めます。ゴールに向けた施策を企画立案、実行し、その結果を分析して、改善につなげます。この一連の循環を繰り返すことで成長を継続し、より大きな成功につなげることがPDCAサイクルの目的です。

PDCAそれぞれのプロセスで行う内容は以下の通りです。

  • Plan(計画):目標の設定と、目標達成のための具体的な行動計画(5W2H*)を策定する
  • Do(実行):行動計画を実行し、その効果を測定する
  • Check(評価):測定結果を評価し、分析を行う
  • Action(改善):課題や問題点についての改善や対策を行い、次の「Plan」へ反映させる

PDCAサイクルの必要性とは

PDCAサイクルが必要とされる理由は、大きく2つあります。

一つ目は、改善ノウハウを蓄積するためです。PDCAで重要なのは実行した後、成功・失敗にかかわらず必ず評価を行い、改善につなげていくことです。仮に失敗したとしても「なぜうまくいかなかったのか」原因をきちんと究明し、対策を打つことで改善につなげれば、同じ事象が起こった際にも同じ失敗を繰り返すことはなくなるでしょう。また、評価・改善を繰り返し行うことで、PDCAそれぞれのプロセスの精度も上がります。改善ノウハウを蓄積することは、最終的なゴールに近づく着実性やスピードの向上につながるのです。

もう一つの理由は、市場や環境、仕事自体の変化に柔軟に対応していくためです。PDCAを意識せずに仕事が習慣化してくると、評価や改善がおろそかになりがちです。また、無意識に固定観念が生まれ、新しいやり方が思いつかないといったことも起こりやすくなります。

市場や顧客のニーズが多様化する現在、同じやり方で仕事を進めていては時代の変化に対応していくことは困難です。評価・改善を繰り返し、成長し続けていくためのPDCAサイクルは、新たな気付きを与え、柔軟な発想を生み出すにも有効な手法だと言えます。

PDCAの具体的な手順を紹介

ここからは、PDCAの活用方法についての具体的な手順を紹介します。

例として「自社のECサイトの売上を1年で1.2倍にする」というゴールを達成するために、「自社のECサイトへの訪問者数を1年で1.5倍に増やす」という目標を設定したと仮定し、各プロセスを解説していきます。

【Step1】Plan(計画)

「自社のECサイトへの訪問者数を1年間で1.5倍に増やしたい」という目標を立てたら、まずは自社の現状を正確に把握しましょう。

  • ユーザー数:〇〇
  • 月間PV数:〇万PV
  • サイトにたどりつくパターンでもっとも多い比率:リスティング広告
  • サイトにたどりつくパターンでもっとも少ない比率:検索エンジン
  • 平均ページ滞在時間:〇分

このように状況を洗い出したら、目標に対してどれくらいギャップがあるかを把握し、ギャップを埋めるための解決策(仮説)を考え、5W2H*を意識して行動計画を立てていきます。

*5W2H

  • 誰が(Who)
  • いつ(When)
  • どこで(Where)
  • 何を(What)
  • なぜ(Why)
  • どのように(How)
  • いくらで(How much)

上記の例であれば、検索エンジンからのアクセスが少ないことが課題として挙げられます。その解決策として、コンテンツを増やして検索キーワードを工夫すれば訪問者数が増えるのではないかという仮説が立てられます。

【Step2】Do(実行)

計画の段階で立てた仮説をもとに、行動計画に沿って実行に移します。

(行動例)

  • 検索キーワードを選定する
  • コンテンツを1日1つアップする
  • SNS更新は3日に1回必ず行う

Doの段階では、計画を実行に移してみた結果、それが有効だったのか(仮説は正しかったのか)、もっと別の方法が考えられないかなどを検証します。目標や計画に対しての結果や進捗度、うまくいった場合もうまくいかない場合も含めて、きちんと記録することがポイントになります。

【Step3】Check(評価)

この段階では、計画した目標を実行できていたのか、成果に結びついたのかどうか、実際の結果を定量的に測定・評価していきます。目標が達成されていない場合、何が問題だったのか原因を究明するだけでなく、成功した場合についても要因を分析するようにしましょう。さらに、新たな課題や問題点を挙げていき、当初の目標達成のためには今後何が必要なのかを洗い出していくと、次の改善につながります。

今回の場合であれば、コンテンツやSNSの更新頻度は計画通りに運んだか、ユーザーは選定した検索キーワードをもとにどれくらいアクセスしてくれたかを評価します。

【Step4】Action(改善)

ここでは、検証結果で見えた課題についての解決策を考え、改善していきます。この時、改善案に優先順位をつけ実行することと、次のサイクルの「Plan」を意識して考えることが重要なポイントです。

  • コンテンツは担当者だけでなく、チーム全体で企画する
  • SNSだけでなく、コーポレートサイトなどでも情報を発信していく
  • アクセスのよかったコンテンツは更新を継続する

改善点だけでなく良かった点を維持することも大切です。PDCAサイクルを回すなかでノウハウを蓄積しつつ、試行錯誤をしながら徐々に改善していきましょう。

PDCAサイクルがうまく回らない!失敗の原因は?

PDCAサイクルがうまく回らない場合は、色々な原因が考えられます。ここでは、失敗につながりやすい原因をいくつかご紹介しますので、当てはまるかどうかチェックしてみてください。

設定した目標が高く実現できない

目標設定は自社の状況をしっかりと鑑みて、無理のない範囲に設定しなければなりません。高すぎる目標では、計画倒れとなる可能性も出てくるからです。

「P(計画)」の段階では、具体的かつ実現可能な目標を設定するようにして、確実に次のサイクルに繋げるようにしましょう。

計画に時間がかかりすぎている

現状把握を行ってから時間をかけすぎた計画は、すでに現状とかけ離れている可能性があります。世の中は常に変化しています。完璧な計画を追求するあまり、計画に時間をかけすぎてはいけません。

また、計画を立てたら、すぐさま実行に移しましょう。どんなにすぐれた計画でも、実行しなくては意味がありません。ビジネスチャンスを逃がさないためにも、速やかに実行に移すことが大切です。

途中でPDCAが止まっている

よくある状況として「P(計画)」と「D(実行)」はできたのに、CとAが滞っていることがあります。PDCAサイクルでは、とくに「C(評価)」と「A(改善)」が重要なステップとなります。実行段階でサイクルが終わってしまうと、どの部分が悪いのか、原因も含めて追求できないからです。

これでは問題が起きた場合に、適切な対応ができません。PDCAサイクルでは、必ず評価の時間を持ち、チーム内や部署間で改善策を練るためのコミュニケーションを取る必要があります。また、状況に応じて評価や改善の対象を見直すことも重要です。

正しく評価ができないまま改善を急いでいる

人は早く成果を出したいときほど、焦って先へ進みがちです。しかし、PDCAサイクルにおいては、特に意識して「C(評価)」で十分な時間を取るようにしましょう。効果的な改善策を打ち出すには、1つひとつの問題・課題を細かく見ていくことが大切です。評価した結果をきちんと分析し、そのノウハウを溜めていくことで、次の施策にも活かすことができます。

一度きりで終わっている

PDCAサイクルはすぐに効果が出るとは限りません。何度も循環させてみることで、徐々に解決策や新たな課題が見えてくるものです。逆に、一度の実行で効果が出たためにそれっきりというケースも見受けられます。効果が出たときにこそ、なぜ良い結果が得られたのか、さらに効果を出すにはどうすればよいか、評価と改善を行い、PDCAを繰り返し回しましょう。

PDCAサイクルを効果的に回すにはここをおさえる!

ここでは、PDCAを効果的に回すポイントを押さえていきます。今までうまくいかなかった方は、参考にしてみてください。

目的・目標・期間を明確にする

PDCAサイクルを回す前には、施策の目的を決め、明確な目標を立てるようにしましょう。例えば「営業成績を上げる」という目的を達成するためには、いつまでに何の分野で何件の受注を獲得するという具体的な目標を立てることが必要です。目標が決まったら達成したい時期から逆算して、スケジュールを立てていきます。

実行内容・課題を具体的に記録する

どのようなことを実行したのか、そこに至るまでの過程や、それによって発生した課題などを、できる限り具体的に記録していきましょう。記録を残すことでフィードバックできるのはもちろん、過程で得られたデータがノウハウとして企業に蓄積されていきます。

評価は客観的な数値をもとに行う

評価は客観的に行う必要があります。その際に基準となるのは、計画の際に決めた目標です。目標は数値や期間など、具体的に設定するようにしましょう。数字で表すことで誰の目にもわかりやすく、客観的に評価がしやすくなるからです。

失敗した原因を究明する

失敗した場合は、原因が突き止められるまで何度も分析しましょう。PDCAの4つの手順だけでなく、それぞれの手順をさらに分解して、どのタイミングで失敗したかを突き止め、次に役立てます。

進捗状況を定期的にチェックする

進捗状況を定期的に確認すれば、スケジュールに沿った進行・修正が可能です。サイクルが滞っているのであれば、その都度、改善策を見直す必要があります。定期的なチェックによって、大きなミスにつながる前にリカバリをすることが可能になります。

改善案に優先順位をつける

改善案が複数ある場合は、優先順位をつけたうえで順番に実行しましょう。それぞれの改善案が、どれほどの影響力を持っているかを把握して、優先度の高いものから取りかかります。時間がかかるものを先に実行するとサイクルが滞ってしまう場合もあるので、内容と併せて納期の見極めも大切です。

報告は次のサイクルにつながるものにする

進捗報告を会議で行う場合は、ただ報告するだけで終わりにしてはいけません。問題の提起や反省点、よかった点などを振り返り、次の計画につなげるための仕組み作りをしましょう。結果をブラッシュアップしていくことで、次のサイクルのスタートがさらにスムーズになります。

まとめ

今回は、具体例や失敗例を通して、PDCAサイクルをうまく回すためのポイントや活用法についてご紹介してきました。冒頭にも触れたように、PDCAサイクルを回しながら業務を進めることは、企業の継続的な成長につながります。今まで特に意識せずに仕事を進めていたり、取り組んでもうまくいかなかった方は、このコラムを参考に、PDCAサイクルの考え方や手法を日常業務に取り入れてみてはいかがでしょうか?

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