データドリブンマーケティングは誰のため?

マーケティングや販売促進に携わる方に向けて、これだけは知っておきたい!押さえておきたい!マーケティング用語を集めました。
基礎から応用まで、多岐にわたる用語を活用例なども含めてご紹介いたします。ぜひご活用ください。
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用語解説【データドリブンマーケティング】
データドリブンマーケティングとは、売上データや顧客データ、WEB解析データなど多種多様なデータを活用して、経営の意思決定や企画立案を行っていくマーケティング手法です。得られたデータを分析、可視化して、マーケティング施策やクリエイティブに活かし、売上やブランド価値向上につなげる施策全般を指します。
解説
データと一口に言っても、自社で収集・管理しているファーストパーティデータ、販売会社などパートナーが保有しているセカンドパーティデータ、主に行政がオープンにしているサードパーティデータなど、多種多様なデータがあります。データドリブンマーケティングは、データを部分的に活用するのではなく、さまざまなデータを統合・連携して分析していくのが特徴です。
2016年にヤフーの宮坂学社長(当時)が「今後はデータドリブン企業と呼ばれたい」と発言し、「データドリブン」という言葉が注目されました。消費者だけでなく企業でさえも、リアルとWEBを行き来しながら購買を決定するようになった今、顧客行動が複雑化する中で、データに基づいた的確なマーケティング施策が求められるようになってきました。
ビッグデータの登場と技術の発達は、様々なデータの取得・可視化・分析を可能にし、その流れの中で、データドリブンマーケティングが注目を集めているのです。
データドリブンマーケティングの目的は?
データドリブンマーケティングの目的は、あくまで顧客ひとりひとりのユーザーエクスペリエンスを向上することにあります。顧客行動をデータによって可視化することで、適切なタイミング・適切な形で情報やサービスを届けることが出来るだけでなく、顧客自身も気付いていない欲求を分析して、先を読んだきめ細かいサービスを提供することで、より良い顧客体験を生むことが可能になるのです。
なぜマーケティングに有効なのか?
データドリブンの考え方に基づく施策は、マーケティングの費用対効果(ROI)も向上します。ベストなタイミングでいい体験や買い物ができたユーザーの満足度が高まることで、売上だけでなく、企業のロイヤルティも向上していくのです。
データドリブンマーケティングを行う上でもっとも重視すべきなのは、データそのものではなく、データ活用による顧客理解であるという点を押さえておきましょう。
関連リンク
・ユーザーエクスペリエンス(https://drm.ricoh.jp/lab/glossary/g00042.html)
データドリブンマーケティングの手順
データドリブンマーケティングはデータに基づいてマーケティングを行うことですが、実際の施策を成功させるためには、次のようなステップとサイクルに従って進めていくことが大切です。
目的の明確化→データ収集→データ整理・分析→アクションプランの作成と実行→レビュー・改善
① 目的の明確化
まずは、マーケティング施策の目的を明確にする必要があります。目的のないままデータドリブンマーケティングに取り組むと、無駄な時間とコストを費やすことになりかねません。何のために行っているのか、この後の過程で常に目的を意識しながら進めていくことが、データドリブンマーケティングを進める上での重要なポイントです。
② データの収集
次はデータの収集です。ただし、やみくもにデータを集めていては膨大な時間がかかってしまいます。あらかじめ明確にした目的のために、どんなデータが必要なのか見極めることがとても重要です。まずは「収集したデータから、最終的にどのような結果を得たいのか」、データ分析後のイメージを持つと良いでしょう。
③ データの整理・分析
データを収集したら、次はデータの整理・分析のステップです。しかし、集めたデータには、不要な情報が混在していることがよくあります。分析の前に、目的に合わせ、必要なデータを抽出・整理・分類しましょう。整理したデータを丁寧に読み込むと、課題やその原因も見えてきます。原因がわかれば、対策も立てやすくなるというものです。
④ アクションプランの作成と実行
データ分析の結果を受けて、アクションプランを作成します。設定した目的に沿ったプランを企画し、実行へ移します。この際、いつ・誰が・何をといった詳細までプランを落とし込むと、抜け漏れを防ぐことが出来るでしょう。
⑤ レビュー・改善
データ分析に基づく施策を実施した後は、必ず効果をレビューして改善します。定めた目的を達成できたのか、顧客満足度やROIの向上につながったのかを解析して、PDCAサイクルを回していくことが重要です。
データ活用で新たな顧客体験を生むUSJ
アミューズメントパークのユニバーサル・スタジオ・ジャパンを運営するユー・エス・ジェイは、データドリブンマーケティングを積極的に進めてユーザーエクスペリエンスの向上を図る企業のひとつ。その具体的な取り組みを紹介します。
① パーク内の行動に基づいたコンシェルジュサービス
テーマパークの来場前、来場中、来場後を含めた顧客行動を分析して、ユーザーの「テーマパークジャーニー」の理解を深めるユー・エス・ジェイ。パークに来場している間のデータを活用したマーケティング施策が、デジタルコンシェルジュサービスです。
“多くの顧客・従業員が四六時中、縦横無尽に動き回るパーク内で、人の流れをどう分析するか。当然と言えば当然だが、選択したのはセンシング(センサー)だった。それ以外にも、パーク内行動データを取得するために、GPS、ビーコン、Wi-Fiなど、さまざまなソリューションを組み合わせて計測を実施している。”※1
“たとえば、朝の時間帯に入り口付近にいるゲストに対し、カチューシャやアパレルのグッズを提案。それらのグッズを身につけてパークを楽しんでほしいという企業の想いと、グループでお揃いにしたいというゲストの想いをマッチングすることで、双方にメリットを生んだ。”※2
USJ内の行動データに基づいて、公式アプリのコンシェルジュ機能を使い、来場するユーザーひとりひとりの行動に合ったサービスを適切なタイミングで提供。アプリの提案によって、ユーザーがさらにテーマパークを快適に楽しむことができるという、良質な顧客体験を作り出しています。
② データ活用による個別コンテンツの充実
ユー・エス・ジェイは、データの収集によって、来場者の特徴や行動の傾向の理解を進めています。
“入場リピート率の向上や年間パスポートの更新をCRMで促したいと考えています。たとえば、年間パスポートホルダーは絶叫ライドが好き、パーク内飲食店のディナー利用率が高いなど、行動の傾向がつかめつつあります。すると、データをもとにした提案が経営層にもしやすくなる。彼らが意識する数字に大きく跳ね返る施策ができるはずです”※2
一方で、パーク内の個別のコンテンツの充実にもデータを活用。一例として、ハロウィーンシーズンに毎年行われるホラーナイトに、アプリを使った施策を導入しています。
“そこで、新しい体験をアプリ内で提供することにした。具体的には、ゾンビに扮したキャストにモバイルデバイスを装備し、そのGPS情報をゲストのアプリへ発信。ゲストがゾンビと遭遇するとBeaconが反応し、バトルモードになるなど、データとデジタルをリアル体験の補助として活用した。”※2
毎年恒例のイベントのマンネリ化を防ぐため、リアルとデータを掛け合わせたサービスで新しい顧客体験を創造。毎年訪れるユーザーの顧客満足度向上を実現しています。
③ 経営層の意識変革のため社内へマーケティング
同社のデータドリブンマーケティングをけん引するマーケター・柿丸繁氏は、2014年にユー・エス・ジェイに入社。ニッセンや楽天でダイレクトマーケティングやEC業務に携わってきた柿丸氏によると、異業種間では、データに対する意識の差が存在しました。
“これまで私は、データを細かく・大量に集め、緻密に改善を繰り返すことが良いと考えていました。ある意味では正しいのですが、テーマパーク事業においては経営に大きくインパクトが出る戦略であることが優先。入社して早々に、私自身のデータに対する価値観が大きく変わったのです”※2
“柿丸氏は「ぜひ知恵を貸してほしい」というアプローチで勉強会を開き、経営層へデジタルマーケティングの必要性を浸透させていった。さらに、デジタル活用で得られるメリットを各事業部に提案し、ステークホルダーからの理解を深めていったのだ。”※2
テーマパーク事業に求められる目立ったアクションが提示できず、データドリブンマーケティングの重要性に対して理解が得られないことに苦しんだという柿丸氏。社内に向けたマーケティングである「インターナルマーケティング」の方法を改善して、経営層への理解を深めました。
※1 USJ柿丸氏が語る、データドリブンマーケティングで必要なコト「経営層を巻き込む力」「やりきる覚悟」
(https://webtan.impress.co.jp/e/2018/12/04/30926)より引用
※2「君はビジネスマン失格」それでも、USJ柿丸氏がデータドリブンのCX変革をできた理由
(https://markezine.jp/article/detail/29965)より引用
まとめ
ご紹介してきたように、データドリブンマーケティングの最大の目的は、データの活用によって良質な顧客体験を生むこと。「データ重視」だからといって、目的を明確にせずに、ただ顧客データを多く集めて分析するだけでは成功しません。顧客の感動を生む施策を実現するにはどんな情報が必要なのかという観点から、データをとらえていくことが重要です。
関連リンク
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