OMOとは?オムニチャネルやO2Oとの違いを徹底解説!

From: ダイレクトマーケティングラボ

2019年04月15日 00:00

この記事に書いてあること

マーケティングや販売促進に携わる方に向けて、これだけは知っておきたい!押さえておきたい!マーケティング用語を集めました。
基礎から応用まで、多岐にわたる用語を活用例なども含めてご紹介いたします。ぜひご活用ください。

用語解説【OMO】

OMOとは、Online Merges (with) Offlineの略。日本語でいうと、オンラインとオフラインの融合を意味します。

解説

OMOは、2017年9月頃にシノベーションベンチャーズの李開復(リ・カイフ)が提唱した言葉で、2017年12月に、ザ・エコノミスト誌にて広く発表されました。

今や顧客はオフラインとオンラインを縦横無尽に行き来する時代。
OMOは、オンラインとオフラインのように企業目線でチャネルを分けて考えるのではなく、徹底した「顧客目線」「顧客体験志向」でオン・オフのチャネルを融合し、よりよい顧客体験を提供していこうという考え方です。
IOTの進歩やスマートフォンの普及により、従来オフラインであったあらゆる消費者行動がデジタルデータ化され、個人のIDに紐づけられるようになります。企業はこれらのデータを活用し、ネットとリアルの垣根を越えて、適切なチャネルを適切なタイミングで提供する(ユーザーに選んでもらう)ことで、よりよいUX(ユーザーエクスペリエンス)を生むことができるというわけです。

OMOは「スマホ一つあれば生きていける」と言われる中国で、もっとも進んでいるといわれています。限りなく100%に近い都市部でのスマートフォンの普及率、偽札をはじめとする現金の安全性の問題などの要因により、中国ではモバイルペイメントが一般化。公共料金やタクシー料金はもちろん、屋台の支払いや罰金でさえも、スマホで決済されるというのですから驚きです。このように、中国ではオフラインの生活にデジタルが浸透しているため、オンラインとオフラインが一体となったOMO施策が世界でもっとも盛んに行われているのです。

O2Oやオムニチャネルとの違い

OMOは、O2Oやオムニチャネルがより先へ進んだマーケティング手法と言われています。具体的に、O2Oやオムニチャネルとの違いについて解説します。

O2Oとは

O2Oとは、「Online to Offline」の略。インターネット(オンライン)の情報によって、実店舗(オフライン)での購買行動へ導くマーケティング戦略を指します。

具体的には、ECサイトのユーザーに実店舗で使用できる割引クーポンを発行して店舗販売へつなげる施策や、スマホで実店舗の位置やセールのお知らせをプッシュ配信して、店舗に誘導することなどが挙げられます。

オムニチャネルとは

オムニチャネルとは、店舗やWEBサイト、カタログやコールセンターなど、あらゆる販売・流通チャネルをシームレスに統合して、顧客とさまざまな場所で接点を持とうとする考え方や戦略です。会員情報や在庫情報などを一元管理することにより、顧客は購買チャネルを意識することなく、どのようなチャネルからでも商品を購入し受け取ることができるメリットがあります。

O2O、オムニチャネルとOMOの違い

O2O、オムニチャネルはともに、オンラインとオフラインを分けて考えた上で、顧客の購買行動を促すためにチャネルを連携させる企業目線の施策です。

一方、OMOはデジタルデータを起点にして、オンラインとオフラインを融合する施策。購買行動だけではなく、顧客のあらゆる体験(UX)を中心に設計を行う点が、OMOの特徴であり、O2Oやオムニチャネルとの大きな違いです。

OMOによるマーケティングとは?事例を紹介

オンラインとオフラインの融合とは、具体的にどのような施策を指すのでしょうか。
OMO施策により、ユーザーエクスペリエンスの向上を実現している事例をご紹介します。

スーパー・盒馬鮮生の快適な購買体験

中国のインターネット3大企業の一角であるアリババが出資するスーパー・盒馬鮮生(ファーマーションシェン)は、世界でもっともOMOを推進している店舗のひとつ。オフラインの店舗とオンラインを融合したサービスにより良質な顧客体験を提供しています。

盒馬鮮生が提供する主なサービスと、顧客が得られるメリットは次のとおりです。

オフライン店舗での快適な購買体験

盒馬鮮生は、顧客が楽しめる店舗作りを行っています。店内は、他の中国のマーケットに比べて清潔で、品揃えも豊富。さまざまな鮮魚を販売する生け簀もあります。また、食材をその場で調理して提供してくれるイートインスペースもあり、ただ単に食材を購入する場所ではなく、このスーパーに行けば楽しく良質な購買体験を得られると顧客に感じさせるオフライン店舗としての魅力を備えています。

スムーズなモバイルペイメントが可能

店舗でのスムーズな支払いも顧客にとってのメリットのひとつ。盒馬鮮生では、モバイル端末のアプリを使って、商品のバーコードを無人レジにかざすことで支払いを行います。キャッシュレスで買い物ができるほか、購入履歴にひもづいたおすすめ商品情報を得られるなどの利点もあります。

アプリがさらなる付加価値を提供

盒馬鮮生アプリでは、ひとつひとつの商品の産地から店舗に届くまでの全履歴が確認できたり、動画でレシピを提供したり、その料理を作るために必要な他の素材や調味料もまとめて購入できるなど、顧客の新たな発想や行動を促します。顧客としてはアプリを利用することで付加的な「楽しさ」や「体験」を得られるため、満足度がさらに向上します。

30分以内に自宅で商品を受け取り可能

店舗から3キロ以内であれば、アプリで注文した商品を30分以内に配達してくれるサービスもあります。店舗で見て気に入った商品を、その場でアプリから注文して自宅へ帰れば、商品がすぐに届くのです。オフライン店舗にいながらにしてオンラインのサービスを利用することで、より快適な買い物「体験」ができるのです。

平安保険グループのアプリを使った営業活動

中国4大保険グループのひとつ・中国平安(ピンアン)は、アプリを使ったOMOによって保険商品のマーケティングを成功させています。

中国平安は、約100種類の生活に関連するアプリを提供。医療機関をデータベース化したアプリなどで得たデータを活用し、顧客がサービスを必要とするタイミングでアプローチを行っています。

アプリの活用によって、平安の顧客やマーケティング活動には、以下のようなメリットがもたらされています。

医療情報提供アプリが医師探しをサポート

平安は、信頼できる地域の医療機関を探すことができる「グッドドクター」アプリを提供。ユーザーは、アプリを通じて医師にチャットで質問をしたり、医療機関を予約したりすることもできます。中国では医師の情報が整備されておらず、医師の品質にもばらつきがあるため、大学病院などの信頼できる機関に患者が集まり、ささいな病気の診療でも何日も待たなくてはなりません。

このアプリの凄いところ平安の顧客でなくても利用できること。こうした医療情報に偏りがある中国において、病気やけがの治療ですぐに医者にかかりたいユーザーに大きなメリットをもたらしました。

アプリ提供により企業のロイヤルティが向上

医師に質問をする為にはポイントが必要です。しかし、グッドドクターはアプリを立ち上げてウォーキングをするだけで、医師に質問をする為に必要なポイントが付与されるのです。これによりユーザーは健康に不安がないときも日常的にアプリを使用します。

毎日の生活に寄り添いながら、通院に関する課題を解決するアプリによって、平安は身近で親切であるというイメージ作りに成功。ブランドのロイヤルティ向上を実現しています。

情報をマーケティングに有効活用

平安は、アプリを使ったユーザーと医師のやりとりをデータベース化。アプリ上で便利なサービスを提供して使用してもらうことで、より多くのユーザーの医療に関わる詳細な情報を得ることができます。集めたデータは、ひとりひとりの顧客に応じた有効な営業活動に利用されます。

タイムリーな情報提供で顧客の満足度向上

保険サービスを利用する顧客にとっては、自分自身や家族の健康上の問題や医療費が発生した際に、平安の営業マンからタイムリーで有益な情報を得られます。ひとりひとりに合った細やかなサービスを提供することで、平安に対する顧客の満足度がさらにアップするのです。

まとめ

今回ご紹介したとおり、オンラインとオフラインが融合したOMOによるマーケティングは、顧客のデータを活用することで、UX(ユーザーエクスペリエンス)を向上します。快適な行動体験をした顧客は、モバイルペイメントやアプリ、デジタルツールをさらに頻繁に利用。それによりまた多くの顧客データが収集され、より質の高い顧客体験の提供が可能になるのです。これは企業にとっても、商品やサービスだけでなく、顧客満足度や企業のロイヤルティを高めることにつながります。OMOは、このように消費者の生活に密着し、効果的にマーケティング活動を推し進めていく考え方として、今後さらに注目されていくでしょう。

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