ABテストとは?成果を上げる進め方とポイント

From: ダイレクトマーケティングラボ

2019年02月07日 00:00

この記事に書いてあること

マーケティングや販売促進に携わる方に向けて、これだけは知っておきたい!押さえておきたい!マーケティング用語を集めました。
基礎から応用まで、多岐にわたる用語を活用例なども含めてご紹介いたします。ぜひご活用ください。

用語解説【ABテスト】

ABテストとは、同一の期間中にデザインやレイアウトの一部が違う制作物を2パターン以上用意して同時に走らせ、どのパターンのレスポンス率が良いかを検証するテストです。

解説

ダイレクトマーケティング実務においては大変よく行われる仮説検証方法です。新聞折込チラシなど紙媒体のABテストと、ランディングページやホームページなどWEBにおけるABテストと大きく2つに分けられます。

もともとは通販DMやチラシの世界で普及していたテスト方法ですが、自動化されたツールを使って数パターンのクリエイティブを動的に表示し分けられるWEBの世界で更に発展しました。一定規模以上の来訪者数のあるサイトであれば、紙媒体よりも早いサイクルでABテストが出来るので、仮説検証サイクルも早くなります。

例えば、クリスマスや年度末のセールなどで初日の午前中にABテストをして、有意差が見られたという判断をしたら、お昼前には勝った方で表示を統一する、といった運用が可能です。

以下、ABテストの目的と、準備〜実施〜評価〜反映のPDCAの回し方について、WEBを中心に事例も交えながら見ていきます。

ABテストの目的

ダイレクトマーケティングにおける顧客とのコミュニケーションの最大の目的は、顧客のブランドや商品に対する認知や態度を変えるだけでなく、行動を起こさせることです。資料請求、会員登録、試供品の申し込み、商品購入など、これらの行動をより促す画像、ボタン、テキストリンクなどのクリエイティブパターンについて、ABテストを繰り返して最適化し、費用対効果の最大化を目指します

ABテストの進め方とポイント

○PLAN:計画

仮説を立てる

ABテストは非常に便利なテストですが、仮説を立てずにテストをすると、ムダなお金や時間を投じる事になります。仮説を立てることで、結果の検証が行え、PDCAサイクルを回すスピードが上がります

仮説を立てる対象となるのは、大きく分けると次のようなものが有ります。

バナー広告

ボタンの色、配置、文言、フォント、デザインアクセントなど

リスティング広告

検索キーワード、広告タイトル、広告説明文など

ランディングページ

メインビジュアル、キャッチコピー、オファー、アクションボタン、フォームの表現など

ホームページ

ランディングページの要素+トップページからの遷移率、サイトの離脱率、バナーのクリック率など

メール

件名、送信日時、差出人、リード文、ランディングページの要素+本文中のコンテンツの数、長さなど

また、ターゲット顧客の属性(20代と40代など)、広告出稿先媒体の比較などもABテストの仮説対象になります。

テスト項目は一つに絞る

ABテストを計画する際の原則として、「テスト項目を一つに絞る」ことが挙げられます。例えば、メイン商品の写真のみ違う2パターンでテストし、キャッチコピーのABテストやオファー表現のABテストは別途行います。

これは、複数のテスト項目を入れてしまうと、何が影響して結果を変えたのかという比較判断がつかず、テスト結果を本番に反映できなくなるためです。

○DO:実行

テスト計画に基づいて、テストを実行します。実行時の注意点は以下の通りです。

テストユーザーの条件を揃える

新規顧客なのかリピート顧客なのか、どこから流入してきた顧客なのか、年齢、性別などの属性、過去の購入商品の傾向など、テストユーザーを特定のグループにセグメントし、同じ条件や属性のユーザーにテストする方がより正確な検証ができます。

サンプル数を確保する

テストを実施する際には、十分なサンプル数が必要です。統計学的にサンプルサイズを算出してくれるツールなどで事前に確認しておくと良いでしょう。

WEBのABテストでツール活用の利点が大きく出るのが、この実行の場面でしょう。テスト条件の設定、テストするセグメントの指定、比較対照するコンテンツやデザインパーツの登録を行います。

○CHECK:評価

検証結果を蓄積し、次のテストに生かす

実行面で非常に効率的なテストツールですが、仮説立案と評価はマーケターがその都度行い、レポーティングする必要があります。それがないと、とにかく場当たり的にテストを行い、ツールが行った最適化もなぜそうなったのか担当者が説明できない、ということになります。

ABテストの結果はもちろん、仮説自体が正しかったのか、間違っていたならばその要因分析も含めて、ノウハウを組織内に蓄積し、次の仮説立案やその後のテストに生かすことが重要です。

○ACTION:反映

改善を繰り返し行う

あるテスト単体での結果の反映はツールが自動的にやってくれますが、テスト結果から傾向やヒントを導き出し、新たな仮説を立案、次のテスト計画へ反映させるのはマーケターの役目です。

一度成功したパターンも効果が落ちる時が必ず来ます。失敗と成功を繰り返しながらも、小さな改善を積み重ねていくことが、全体の成果向上に繋がっていくのです。


顧客体験のシナリオを考える

どのような施策が、顧客を購入に導き、継続的な関係性を構築できるのか。最近ではカスタマー・ジャーニーと言われるような、商品やサービスの存在を知り、その購入にいたるまでの顧客の体験を、シナリオ化して提供することの有効性が強調されています。

ABテストのような、ある手段を実現する技術がどんどん高度化していくWEBあるいはデジタルマーケティングの世界では、非常に重要な考え方と言えるのではないでしょうか。

ABテストの成功事例

冒頭、ダイレクトマーケティングにおけるコミュニケーションの最大の目的は、顧客に行動を起こさせること、と言いましたが、その典型的な事例としてオバマ元大統領の草の根キャンペーンで行われた、献金サイトにおけるABテストがあります。

ABテストの対象となったのは、サイト上部のメディア部分(6パターン)と、行動喚起のためのボタン(4パターン)です。

このキャンペーンでオバマ元大統領は200億円の資金を集めたと言われていますが、最終的に勝ったパターンのサインアップ率は、40.6%の改善率だったそうです。これは金額換算で約60億円に該当すると言われています。

ここでのABテスト成功の理由は、テスト対象とするユーザーの属性=オバマ候補を支持しそうなリベラル層の価値観を分析し、オバマ氏が実現を目指す世界とその価値観が共通することを示すメディアパターンを用意したこと、献金というアクションを促すためのボタンの文言というABテスト上の重要な要素をテスト設計に取り込んでいたからでしょう。

(写真下側が最終的に勝ったパターン)
【出典】How Obama Raised $60 Million by Running a Simple Experiment

まとめ

この限定的な規模でABテスト、勝った方で大規模に本番展開(ロール・アウト)というやり方をダイレクトマーケティングでは「テスト&ロール・アウト」という言い方をします。

テスト&ロールアウトを繰り返すことで、常により高い効率を追求することがダイレクトマーケティングの代表的な勝ちパターンと言えます。また、広告媒体だけでなく、商品企画や販売チャネル展開などにもこの手法は応用可能です。ダイレクトマーケティングが科学的マーケティングと言われる所以です。

WEBサイトを成長させる、ユーザーを増やす、コンバージョンを最大化する、売上を増加するといった自社サイトの最終目標を達成するために、ABテストは欠かせない施策です。高速で質の高いPDCAサイクルを回し、事業成果に結び付くコンバージョン率の向上を目指していきましょう。

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