効果を上げるアクセスログ解析とは?

From: ダイレクトマーケティングラボ

2018年08月23日 00:00

この記事に書いてあること

マーケティングや販売促進に携わる方に向けて、これだけは知っておきたい!押さえておきたい!マーケティング用語を集めました。
基礎から応用まで、多岐にわたる用語を活用例なども含めてご紹介いたします。ぜひご活用ください。

用語説明【アクセスログ解析】

「アクセスログ解析」とは、WEBサイト訪問状況の記録(アクセスログ)から、ユーザーがいつ、どこから来て、どのページを閲覧し、どのようにサイト内を移動していったか、などを解析することです。これにより顧客のニーズや、自社が提供するサービスとのギャップを把握し、サイト改善のための施策を検討することができます。

解説

作りっぱなしで更新されないWEBサイトなら無いほうが良い、とよく言われます。長期間更新のないサイトは顧客が飽きて訪問しなくなるばかりではなく、サイトを運営する企業そのものの活動(事業の継続性)も疑問視されてしまうからです。

かといって、むやみにサイトを更新し続ければ良いというものではありません。アクセスログ解析は、サイト改善の方向性を示す指標となります。そのサイトが顧客のニーズに応えているか、運営する企業の目的に合致しているか、常にPDCA(Plan-Do-Check-Action)サイクルを回し、サイトデザインやコンテンツを改善していくことが大切です。

アクセスログ解析の重要性とデータを通してわかること

アクセスログ解析にはいくつかの手法(ツール)がありますが、現在の主流はアクセスログ解析用のプログラム(タグ)をWEBページに埋め込んで情報を収集・解析するというものです(代表的なツールはGoogle Analyticsなど)。

こういったツールを使うことにより、以下のような情報を得ることができます。

  • サイト全体、ページごとのアクセス数
  • 訪問者のネットワークドメイン
  • いつ(サーバに記録された訪問日時)
  • どこから(リンク元URLをリファラから解析)
  • どのように(検索エンジンを経由している場合には検索ワード)
  • どのページに入ってきて
  • どのページをどれくらい見て
  • どのページから出て行ったか

この情報を組み合せて分析することで、そのページがどのくらい人気があるか(PV、UU)や、ユーザーがどのような情報を求めているか(検索ワード)、サイトがその期待に応えているかどうか(直帰率、離脱率、回遊率)、購入や予約、資料ダウンロードなどのコンバージョン率といったことがわかります。

【アクセスログ解析の基本用語】

用語 意味
ネットワークドメイン 複数のホストコンピュータで構成される、ネットワーク上の領域。インターネット上の住所の一部。
リファラ ユーザーが現在のサイトを訪問する際に利用した、リンク元ページの情報。
回遊分析 サイトを訪問したユーザーが、サイト内をどのように回遊し、コンバージョンもしくは離脱したかを分析する。
PV Page Viewの略。そのページが何回閲覧されたかを表す。同じユーザーが複数回閲覧してもカウントされる。
UU Unique Userの略。同じユーザーが複数回サイトを訪問しても、カウントはされない。
直帰率 サイトに訪問したが、ほかのページに移動せずに離脱したユーザーの割合。
離脱率 サイト内のページを見たユーザーのうち、そこでサイトを離脱した人の割合。
回遊率 ユーザーがサイト内の各ページを、どのくらい閲覧したかを示す数値。1訪問に対して何PVかで表す。
コンバージョン率 CVRとも表記される。サイトを訪問したユーザーが、目標行動の達成に到った割合。

アクセスログ解析の具体例

では実際に、どのように解析してWEBサイトを改善していくのでしょう? ここでは生活用品の販売を行う企業をアクセスログ解析の具体例として取り上げてみましょう。

A社はシャンプーや歯磨き粉、食器用洗剤などの日用品を数多く販売している中堅企業です。WEBサイトの開設も他社に比べて早かったのですが、今まではPV、UUなどの量的指標しかデータとして見ていませんでした。

A社は今月他社に先駆けて、除菌力が強くて泡立ちも良く、それでいてすっきり泡が切れる食器用洗剤を発売しました。A社の広報部はこの商品の特徴をよく理解してもらうために特設ページを作り、ページの最後にはプレゼントが当たるオファーを設けて発売当初から他社を引き離す話題を作りたい考えでした。

発売日にはTVのCMも大々的に流し、A社のWEBサイト全体のPVは跳ね上がりました。ところが、特設ページのPVが思ったほど上がっていないことが判明。広報部はアクセスログ解析のツールを導入し、その結果以下のようなことがわかりました。

  • 検索ワード 「洗剤 泡立ち A社」「除菌 泡切れ A社」が上位。
  • リファラ ユーザーの多くは有名検索サイトから、A社のサイトに訪問している。
  • 直帰率:75% 多くのユーザーは、最初に訪問したページでサイトから離脱してしまう。
  • 回遊率:1.2PV ユーザーの大半はA社のサイト内を移動せず離脱してしまう。
  • 離脱率:90% 特設ページを見たユーザーのほとんどはオファーに応募することなくサイトを離脱してしまう。

極端な例ではありますが、このような解析結果からは次のような問題点が見えてきます。それらに対して、仮説を立て、改善策を練っていきます。

【問題点1】ユーザーの直帰率が高い。すぐにA社のサイトから離脱してしまう

仮説:ユーザーが閲覧したいページに到達できていない可能性がある。

改善策:リスティング広告などを利用し、特設ページに直接到達できるようにする。

【問題点2】ユーザーの回遊率が低い。平均滞在時間が短く、同じページを行ったり来たりする

仮説:サイトの造りがわかりにくい、リンクを見つけにくい、目的とするページまでの階層が深く、途中で飽きてしまうなどが原因で、ユーザーが途中で離脱している可能性がある。

改善策:サイトデザインを見直す、階層を整理するなど、直感的にわかりやすいサイトを作る。

【問題点3】特設ページの離脱率が高い。ユーザーがオファーに応募せず離脱してしまう

仮説:コンテンツがユーザーに響いていなかったり、オファーに魅力がない可能性がある。

改善策:特設ページのコンテンツを充実させるなど、ページ自体の魅力やオファーを見直す。

まとめ

アクセスログ解析なしでのサイト運営は、顧客のニーズを無視して商品開発や販売を続けるようなものです。いずれは顧客の信用を失い、気がついたときには既に手遅れ、という事態にもなりかねません。アクセスログはそのままではただのデータですが、適切な分析ツールを使うなど、有効なデータに加工することで「宝の山」に変化します。

なぜ直帰率が高いのか? なぜ回遊率が低いのか? なぜユーザーの訪問がコンバージョンにつながっていかないのかなど、すべての現象には理由があります。

作りっぱなし、施策をやりっぱなしのWEBサイトにせず、アクセスログ解析を使ってPDCAサイクルをきちんと回し、顧客のニーズに応えて魅力あるサイトを作っていくことが大切です。

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