AIDMAの法則とその事例

From: ダイレクトマーケティングラボ

2018年02月08日 00:00

この記事に書いてあること

マーケティングや販売促進に携わる方に向けて、これだけは知っておきたい!押さえておきたい!マーケティング用語を集めました。
基礎から応用まで、多岐にわたる用語を活用例なども含めてご紹介いたします。ぜひご活用ください。

用語説明【 AIDMAの法則(Attention, Interest, Desire, Memory, Action)】

AIDMA とは、Attention(注意) Interest(興味) Desire(欲望) Memory(記憶) Action(行動)の頭文字で、消費者が製品やサービスを認知してから購買に至るまでの行動プロセスを表したものです。

解説

AIDMAの法則は、1924年にサミュエル・ローランド・ホールが「Retail Advertising and Selling」の中で発表しました。この時代のアメリカは、自動車、映画、ラジオが普及し、工業力が世界一に。大量生産・大量消費のこの時代、今のようなインターネット環境は整備されておらず、新聞・ラジオ・雑誌が主流の広告手法でした。

人が何かを買うときに、このプロセスでモノを買っていることが多いので、このフレームワークを自社に当てはめてみると、どのプロセスが弱いか分析がしやすくなる、という点がAIDMAの法則が評価されている理由です。

(実は AISAS というインターネット時代に適用したモデルも存在しているのですが、それはまた別の原稿で書いていきます。)

AIDMAの事例

それでは、具体的な事例で見ていきましょう。例えば、あなたが「オリコウロボ」と言う掃除ロボットのマーケティング担当者だとします。このロボットの強みは、音声で頼めば、スピーディーに掃除してくれることだとします。

1. Attention(注意)

あなたはオリコウロボの販売のために、テレビCMを作りました。

この活動は消費者の Attention(注意)を引き、認知してもらうことを目的としています。CMは15秒程度ですので、「すぐに購入しよう」とはならないかもしれませんが、好きな番組の合間に接点を持てるなど、一般消費者の認知を高める手法としては非常に効果的です。

2. Interest(興味)

次にあなたは、「オリコウロボ」の特徴やメリット、利用シーン(掃除をしている様子など)の動画を掲載した商品紹介サイトを立ち上げ、加えてサイトに誘導するSNS広告も配信することにしました。

この活動は、消費者の Interest(興味)を惹くことを目指したものです。テレビでCMを見た消費者が、後日スマホでSNS広告に接したとき、「あ、これこの前CMでやってた掃除ロボットだわ。ちょっとサイトを見てみようかな」となるわけです。人は Interest(興味)を惹かれたあと、具体的な情報を調べますからね。

このステップで、いきなり購入するというところまではいかないかもしれませんが、サイトを訪れた消費者に「まずはオリコウロボを見てみたい」、「実際に操作してみたい」と思ってもらうことがポイントです。

3. Desire(欲望)

そこであなたは、家電量販店にも協力を仰ぐことにしました(実際の購入はネットショップでもできるものとします)。大手家電量販店では、実際にオリコウロボのデモができるようにブースを設置し、お客様が音声で掃除を依頼する体験ができるようにしました。実際に便利な体験をしたお客様は、「欲しい」という気持ちにグッと近づくことでしょう。しかし、その反面、下記のように思う人もいるでしょう。

「オリコウロボは便利そうだけど、掃除なら自分でもできるし、わざわざ掃除にお金を払ったら怠け者と思われそう」

ここがあなたの出番です。お客様が購入するに当たっての不安や心配事を払拭するセールストークを用意するのです。

「オリコウロボは最小の電力で最大の清掃をしますので、堅実な家庭思いの主婦に使っていただいています。人が掃除をするよりも節電効果があり、年間3万円のコストの削減につながります。」

これが欲望の事例です。お客様の心の障壁を取り除き、一挙に「欲しい」というDesire(欲望)を掻き立てることができるのです。

4. Memory(記憶)

オリコウロボを「欲しい」と思った主婦は、いきなり購入するのではなく、「高い買い物だし、旦那さんとも相談しよう」と考える場合も多いでしょう。でも、その相談は正しく伝わらないこともあります。

主婦:「なんかロボットが掃除をやってくれるんだって」

旦那:「なんて名前?」

主婦:「忘れた」

旦那:「おい…!」

このようになると、家庭内で導入されるのは難しくなります。正確な製品知識の Memory(記憶)が、消費者の購買行動において重要な役割を果たす例です。

ここで大切なのは、せっかく家電量販店に足を運んでくれたお客様にカタログを渡せていなかった点です。カタログさえ渡せていれば、下記のようなAction(行動)へのゴールまでスムーズに誘導できたことでしょう。

5. Action(行動)

そして、最後のステップが Action(行動)です。ここでようやく、「オリコウロボ」が売れるというゴールが達成されます。

主婦:「なんかロボットが掃除をやってくれるんだって」

旦那:「なんて名前?」

主婦:「そうそうカタログもらってきた!オリコウロボ」

旦那:「でも、自分たちで掃除すればいいんじゃないの?」

主婦:「自分たちで掃除するよりも節電されるから得なんだってさ」

旦那:「ふーん。いくらくらい?」

主婦:「3万円/年。商品単価は1.9万円だから1年で元取れるらしいよ。」

旦那:「へえ。どこで買えるの?」

主婦:「家電量販店」

こんな会話を思い浮かべると、夫婦で家電量販店に足を運び、オリコウロボを買う流れが想像できますね。ここで、オリコウロボを扱う家電量販店が一部地域にしかなかったり、ネットショップの使い勝手が悪いと、Action(行動)を取りづらくなることに注意が必要です。

まとめ

AIDMAの法則を理解したら、自社のマーケティング活動をそれぞれのステップに当てはめてみましょう。そうすると、どこでお客様が離脱しているのか、どのタイミングでどのようにお客様の背中を押してあげれば購入というゴールにまで辿り着いてくれるのか、シーンを想像しやすくなります。

シーンを想像することで顧客行動のリサーチが進み、離脱の原因が推測しやすくなります。離脱原因の再現性が高い(マーケットで頻発している)場合は、具体的な改善策を打ち、解決していきましょう。

適切な切り札を適切なタイミングで差し出すことで、消費者に「売り込む」戦略から、消費者が自然に「買いたくなる」戦略を実現することが可能になるのです。

《補足》

加えて解説をしますと、当時のアメリカでは「欲しい」と思ったとしても、すぐに注文できるわけではありませんでした(当時、電話の普及率は40%未満)。広告を打ってすぐ商品が売れるわけではなく、しばらくの遅滞があり、その間記憶が維持される必要があったのです。そのため、AIDMAでは「Memory」の項目が重要視されています。

当時は、「すぐに電話注文できないから」という理由で「Memory」が重要でしたが、スマホの時代になっても、やはり重要です。なぜなら、現在では、多くの製品がコモディティ化しており、品質が一定以上であることが多くなったため、尖った何かで覚えてもらわないと、情報に埋もれ忘れ去られてしまうからです。

例えば、コーヒーショップという言葉を言われた瞬間に思いつくのはどんなお店でしょうか。スタバ・タリーズ・ドトール。そんな3店舗が思いついたとします。逆に言うと他の店舗は知っているはずなのに、最初に思いつかない。一方で、思いつくところには足を伸ばしやすい。消費者に、何かを思い出してもらうようにすることを「マインドシェアをとる」と言ったりしますが、これは別の原稿で扱うことにします。

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