デジタル主流の今、人を動かすダイレクトメールに大注目!

From: ダイレクトマーケティングラボ

2018年07月26日 00:00

この記事に書いてあること

効果的なダイレクトメールってどんなものだろう。その課題にとことん取り組んできた中堅からベテランまでの個性的で経験豊かな5人のディレクター。5人それぞれが感じた「はてなへの答え」をそっとお伝えしていきます。お役立ち情報も展開していくのでお楽しみに!

人を惹きつけるアナログの魅力

こんにちは! DMを愛してやまないクリエイティブディレクターの「I」(男性)です。最近気になっているのが、第七版が発行された岩波書店の『広辞苑』です。言葉を調べるだけなら電子版でも充分便利。ですが、3キロ以上もある重量感満点な紙版をバサリとめくってお目当ての言葉を探すのは、「調べた感」と言いますか、なんとも言えない醍醐味があります。

インターネットやスマホ、もう聞き飽きた感もあるIoTなど、今さら言うまでもなく世の中はデジタル全盛です。にもかかわらず、人はアナログに惹かれる一面を持っています。今回は、紙のDMならではのアナログパワーをご紹介します。

デジタル一辺倒に見える世の中の流れですが…

インターネットやスマホの普及にともない、企業もデジタルマーケティングを加速させています。コスト的にも有利ですし、さまざまなデータを取得することが可能なので、とても理にかなった傾向と言えます。反面、個人の側から見ると受け取る情報量が莫大に増えたのも事実です。インターネットを見ていればリマーケティングによるおすすめ商品が表示され、受信トレイには毎日のようにメルマガや新商品、新サービスのお知らせが届きます。

ここでちょっと考えていただきたいのですが、ドンドン企業から送られてくるメルマガや広告メール、皆さんはどの程度開封していますか? 実際のところ、平均開封率は10%程度だそうです。もちろん送付元の企業に興味があるかないかで、5〜20%の幅でばらつきはあるのですが、決して高い開封率とは言えません。これは、Eメールをはじめとするデジタルチャネルでリーチできる顧客数には限界があることを示しています。

一方、冒頭の『広辞苑』の例でもお話したように、デジタル全盛の時代でも、消費者はアナログとデジタルを好みにあわせて自在に使い分けていると言えそうです。企業側もデジタルのテクノロジーを活用しつつ、アナログの施策とデジタルの施策を効果的に組みあわせ、マーケティングの効率を上げていくことが最重要テーマになっています。

紙ならではのDMのチカラを再確認

Eメールの平均開封率10%に対し、紙のDMはどの程度開封されているのでしょうか?

下記の表は、一般社団法人日本ダイレクトメール協会が行った「DMメディア実態調査2018」の調査結果から抜粋したものです。

【DMを受取った後どんな行動をとったか】

DMを受取った後どんな行動をとったかに関する表

出典:一般社団法人日本ダイレクトメール協会「DMメディア実態調査2018」より

この調査によれば、80%近い人が受け取ったDMを開封し、その内の20%以上の人がその後、インターネットで調べたり、店に出かけたりなど何らかの行動を起こしたことがわかります。このことから、紙のDMには「人を動かす力=コンバージョンパワー」があると言えるでしょう。

ある脳科学の研究によれば、紙メディアの広告を見た場合、デジタルメディアの広告を見た場合よりも、記憶に関係する神経回路が活性化することがわかったそうです。つまり、紙メディアのほうが「記憶に残りやすい」というわけです。日本ダイレクトメール協会の調査結果にあるDMを受け取った後の行動は、脳科学の研究内容をそのまま反映しているかのようですね。

DMのデメリットはこう解決

良い面ばかり書いてきたDMですが、デメリットもあります。それは「お金がかかる」ことと「手間がかかる」ことです。デジタルメディアとの一番の違いは印刷代(場合によっては製本、封入代も)と送料*。特に送料は、発送する数に比例して増えるコストです。そして企画から発送まで時間がかかることや、デザイン、印刷、発送作業における「手間」も無視できないコストと言えます。

実際に紙DMの施策を行うには、以下のようにコスト低減(ROIの改善)と、最大効果を発揮する方法を検討する必要があるでしょう。

1. ターゲットを絞り込む

むやみにDMを出すのではなく、発送対象をセグメント分けしターゲットを絞り込みます。例えば、過去の購入履歴やサービスの利用回数から、優良顧客を絞り込むなどです。これは送付数の減少でコストを低減させるだけでなく、コンバージョン率アップ、顧客満足度アップにも影響します。

2. 適切なタイミングでアプローチ

贈答品であればお中元やお歳暮の季節に、新車購入の案内であれば車検のタイミングでDMを送るのが良いでしょう。季節限定などの「今だけ」感を演出することも効果的です。コストをかけて作ったDMを確実に開封し、何らかの行動を起こしてもらうために、タイミングは重要なファクターです。

3. 効果的なクリエイティブ

わかりやすいデザインやオファーを組み込むことは、デジタルマーケティングとも共通することです。ただしDMなら、紙の媒体ならではのクリエイティブを届けることができます。上質な作りの冊子、手触りの良い紙、五感に訴える装丁で「あなただけの特別感」を演出できることはDMの大きなメリットです。

特別感を演出することで、デジタルメディアでは得られない「特別な体験」をお届けしたいですね。

最新動向と今後のマーケティング

アナログなマーケティングの代表にも思えるDMですが、デジタルと融合して、さらなる進化を遂げつつあります。

例えば、ECサイトでカートに商品を入れるところまでいっても、購入に至らないケースがあります。これを「カート離脱」と呼びますが、このような顧客に向けて、一定の時間内にスピード感をもって紙のDMを発送する施策を行う企業も出てきています。

また、これまでのDMは同じ内容のものを全員に一斉送付するのが一般的でしたが、AIの活用により顧客の行動や感性を分析し、一人ひとりに合った商品をおすすめできる「パーソナライズ」DMもトレンドとなってきています。

これらの施策は大きな成果を発揮していると言いますから、これからのマーケティングはデジタル施策だけでなく、一人ひとりに響くアナログ施策をいかに効果的に組みあわせていくかが、成功のカギとなりそうです。

まとめ

配布する相手とタイミングをしっかり選定する。デジタルにはマネできない“特別感”を演出する。何でもアナログだけではなく、デジタルとの融合も考える。

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