本当に届けたい相手にダイレクトメールを送ってる?
2018年02月08日 00:00
この記事に書いてあること
効果的なダイレクトメールってどんなものだろう。その課題にとことん取り組んできた中堅からベテランまでの個性的で経験豊かな5人のディレクター。5人それぞれが感じた「はてなへの答え」をそっとお伝えしていきます。お役立ち情報も展開していくのでお楽しみに!
送る相手を絞り込むには・・・
こんにちは、紙のダイレクトメール(以下DM)に強い思い入れのあるクリエイティブディレクター「F」です。
さて連載6回目は、「DMを届ける相手」について考えます。
友人が結婚を機に新築マンションを購入。先日、結婚祝いと引越し祝いを携えて、仲間と新居に押しかけてきました。それなりのいい年齢ではあるものの、新婚生活にウキウキを隠せない2人に部屋を一通り案内してもらったあと、手作りのランチをご馳走になりながらおしゃべり三昧。
そこで、急に思い出したように新米妻が、とあるDMを見せてくれました。封筒には宛名のかわりに「〇〇マンションにお住いのあなた様へ」の文字。中を見ると、以下のようなメッセージが。
「〇〇区近辺でファミリー向けマンションをご要望のお客様がいらっしゃいます。」
「あなたのマンション売ってください。」
なぜ、このDMが彼女たちに?という疑問
新米夫「新築だから高く売れるんだろうね」
新米妻「大変な思いをして引越したばかりなのに売るわけないじゃない」
新米夫「もちろん!オレだって、また荷造りするのは御免だよ」
仲間A「売る人なんて、いるのかな……」
新米夫「住んでみて、気に入らなかったから即住み替えたいっていう人がけっこういるとか?」
新米妻「探したときの苦労や引越し準備のことを考えたら、当分ありえない!」
仲間B「まぁ、ここなら気に入らないときは私が代わりに住むからね(笑)」
友人たちがこのDMをネタに会話を続ける中、私はちょっと考えてしまいました。
宛名リストがなくても個人宅にお届けできるポスティング。地域指定だけでなく住居形態などでターゲットをセグメントすることができます。日本郵便のタウンプラスなら、さらに世帯主の世代や性別、家族構成、年収などいくつかの条件でターゲットを絞ることが可能です。学習塾の案内などが届いて「うちの子が来年受験だってなんで知っているんだろう?」などと感じたことがある方もいるのでは?
ではなぜ、友人宅は今回のDMの対象となったのでしょうか?
配布地域を〇〇区に限定
あらためて内容をよく見ると、「〇〇区近辺で」とあり、配布エリアをこの地域に限定したと考えられます。今回のような不動産物件のDMではない場合も、配布エリア選定は重要です。セールの案内をしても行動範囲から離れていれば来客はそれほど見込めないからです。
たとえば小さな商店街が行う産直野菜即売会。対象は普段買い物に来る近辺の戸建てやマンションの住人ですが、ひとまわり対象エリアを広げれば、新規の集客が期待できます。一方、大型ショッピングモールのオープンの案内なら、駐車場の規模も大きく、車でやってくる人を想定できるため、エリアを思い切って広く設定できます。
ファミリータイプのマンションが希望
さらに、「ファミリー向けマンションをご要望のお客様」としているのは、家族で住むのに適した間取りのマンションを選んで配布したと考えられます。今回のDMのように、"何を" "どうしてほしい" という本来の目的をしっかり伝えることは重要です。
受け取った側は、その内容からなぜ自分が対象になったのかを理解します。自分に関係があること= "自分ごと化" することで興味を持って読んでもらえたり、アクションにつながったりするのです。
なぜ新築マンションに?
ここが今回のDMの残念だった点です。新婚夫婦もこの点に疑問を持ち、結果的に話のネタにされるだけに終わってしまいました。ポスティングを利用する際はDMの作りも大切ですが、配布する対象のセグメントが重要です。大まかな条件であっても「ここは押さえておくべき」という点を見極めておかないと、せっかくのツールの効果が半減してしまいます。
2ヶ月もたっていない新築マンションでは売ってもらえる確率は低いはず。ならば、配布対象は「築2年以上のマンション」などのセグメントを入れておいたほうが確率は上がったでしょうし、ムダなコストロスも防げたのではないかと思います。
もちろん人生悲喜こもごも、新築マンションであっても売らざるを得ない場合もあるのでしょうが……。
まとめ
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