4Pの難所Placeに挑戦!どこで売るのが最適なのか?
2019年03月07日 00:00
この記事に書いてあること
マーケティングって、結局どんなことなんだろう。専門的な知識や理論でありながらも、実は私たちの身近にあって、仕事やプライベートを魅力的に改善してくれるものなんです。今日から使えるマーケティングの知識や使い方を、がんばり屋の女の子、神山さんと一緒に学んでいきましょう!
前回、4Pでは4つの要素を独立した施策として考えるのではなく、整合性が大事だと教えられた神山さん。製品(Product)の方針を決定し、価格(Price)の問題はひとまず【仮】にして、一番の悩みだった販路を検討することに。3つ目のP、流通(Place)でよい解決策を見つけられるのでしょうか?
主要キャラクター紹介
神山さとみ
24歳、独身(彼氏ナシ)。サンライズカンパニー第三事業本部商品企画室所属。美大のデザイン科を卒業後、新卒で入社。家電事業の営業アシスタントを1年経験した後、かねてからの希望だった商品企画室に異動。キャラクターグッズ「だいふくにゃんこ」を開発する。
渡辺部長
46歳。妻と2人の子供がいる。サンライズカンパニー営業・戦略グループマーケティング部部長。長らく大手商社に勤め、MBAも取得済み。サンライズカンパニーの社長に請われ、半年前より転職して現職に就いた。
だいふくにゃんこ
神山さんが企画したぬいぐるみ。素材はビーズで、ぷにゅっとした触感が魅力。その何も考えてなさそうな表情が女子社員のハートをとらえ、社内限定で人気上昇中。
お客様はどんな人?よく考えれば答えが見えてくる!? 迷ったときは原点に立ち返れ!
部長:
さてさて、この流通(Place)の問題は、神山さんが最初から悩んでいた部分だね。
神山:
はい。とにかく販売店の方は、数が売れて利益もあるミケタマちゃんに売り場を提供したいの一点張りで……営業マンと一緒に何店か回ってみたのですが、だいふくにゃんこの取り扱いは全部断られてしまいました。
部長:
ふむ。実績があって販売店に影響力を持つメーカーならまずは置いてもらうということもできるが、我々のような後発メーカーは難しいね。
神山:
どうしたらいいんでしょう? いくら分析をしても、売ることができないのでは全部ムダに……
部長:
結論を急がないで、少し前に戻って考えてみよう。そもそも、なぜ販売店で売るんだっけ?
神山:
えぇ! そこからですか? だってミケタマちゃんも販売店で売っていますし、お客様も実際に商品を確認してから選びます……よね?
部長:
ミケタマちゃんをライバル視するあまりに、先入観だけで販売店にこだわりすぎてはいないかい? モノが売れ始めるのは何も販売店からとは限らない。販売店が大々的に売り出したからヒットした、というケースの方が少ないのではないかな?
神山:
?? どういうことでしょうか?
部長:
お客様が求めるから、販売店はその商品を扱う。卸売業者から、今これが売れているという情報をもらって販売店が扱うケースもある。つまり中心はお客様なんだ。我々がアンケートを集計してターゲットとして設定したペルソナ、つまり我々のお客様は、どこで買い物をしていたんだっけ?
神山:
そうでした! ちょっと待って下さい! えーと、えぇと……(バタバタ)どっか行っちゃいました!(泣)
部長:
神山さん、落ち着いて! 机の下に落ちているよ!
神山:
(汗)あ、ありがとうございます! えぇと……
参照:売れるのいろは第5話|売るためのヒントは顧客の声にあり
神山:
アンケートでは「玩具店、デパートの雑貨売り場、ネット販売」で販売するのが適切、と回答がありました!
部長:
では私たちが設定したペルソナではどうなっている?
参照:売れるのいろは第7話|価値ある商品を誰に届ける?ペルソナを明確にしよう!
神山 :
「旅行や外出は疲れる」「残業が多く休日出勤もこなす」「休日は掃除や洗濯で費やされてしまう」。つまり会社帰りや休日に販売店に行く余裕なんてないんですね! それに趣味は「Youtube鑑賞、ネットショッピング」! 確かにプログラム開発部のA子先輩はネットショッピングのヘビーユーザーで、できれば時間までネットで買いたいくらいだって言ってましたっ!
部長:
神山さん! ペルソナだ。A子先輩じゃないよ、ペルソナ。落ち着いてね。アンケートとペルソナの設定だけで決めてしまうのではなく、ネット販売と実店舗での販売、どちらにどのようなメリットとデメリットがあるか、ちゃんと整理してみよう。
それぞれのメリット・デメリットを整理。決断は感覚ではなく事実に基づいて!
部長:
どうだい? こうやって整理すると両方のメリット・デメリットがよくわかるだろう?
神山:
はい! こうして見ると、実店舗で販売するのって意外とデメリットが多いのですね。
部長:
うむ。メリットが他を上回っているからこそ、ネットショッピングが伸びているわけだからね。ともあれ神山さん、この比較からどのようなことが読める?
神山:
実店舗販売でのメリットと、ネット販売のデメリットはほぼ同じ内容なんですね。となると、ネット販売の課題は「どうやって良さを知ってもらうか」と「思っていたものと違うというトラブルをどう無くすか」と言うことでしょうか?
部長:
その通り。ただしこれは、わかりやすい写真や説明、場合によっては動画を使ってお客様に情報を伝えることで、かなり解決できるのではないかな? それよりも大事なことは「おすすめ」なんだ。最後の一押しと言っても良いかもしれない。こればかりは人間がやる方がいい。
神山:
確かに…
部長:
一番良いのは体験談だ。だからテレビショッピングなどでも、必ず使った人の感想が出てくるだろう? 実店舗なら店員さんがおすすめしてくれたり、実際に使った人の代弁者になってくれることもある。これをどうしていくかは、次のP、Promotionで考えよう。
神山:
そうでした……まだ最後のPが残ってましたね。でもアンケートの結果やペルソナの設定を再確認することで、課題はまだいくつかあるもののネット販売が最適な販路(Place)だとわかりました。今まではとにかく販売店で扱ってもらわないと! と焦っていたので、すごく気持ちがスッキリしてます。
部長:
はは! よほど悩んでいたんだね。我々の都合や先入観で物事を決めてはいけない。起点はあくまでお客様なんだ。
神山:
ただ、販路で散々悩んでいたので広告や宣伝までまったく頭が回っていませんでした。どうしましょう? 広告宣伝にあまりお金は使えないと課長から釘を刺されていますし……(泣)
部長:
確かに4Pの例としてあげた特保のお茶と違って、発売と同時に積極的にテレビ広告を投入して認知度アップを図る、なんてことは難しいね。テレビ広告も含め、メディアに広告を投入することは莫大にお金がかかることなんだ。
神山:
そうですよね…
部長:
しかしお金が無いなら無いなりに考えないと。まずはお客様にだいふくにゃんこの価値を知ってもらわなければ、始まらないからね。
神山:
広告宣伝って、お金を使わないと効果が上がらないような気がします。解決策はあるのでしょうか?
部長:
大丈夫。私がついているからね。2人で知恵を絞って、施策立案の総仕上げに向かっていこう!
まとめ
神山さんはアンケートの結果やペルソナ設定を再確認することで、販路に対する先入観と不安を取り除くことができたようです。4Pの最後は、商品の価値をお客様に伝えるプロモーション。予算が少ない状況の中、2人はどのような施策を考えるのでしょうか? 第11回もお楽しみに!
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