いよいよ大詰め!4Pはどこから考える?

マーケティングって、結局どんなことなんだろう。専門的な知識や理論でありながらも、実は私たちの身近にあって、仕事やプライベートを魅力的に改善してくれるものなんです。今日から使えるマーケティングの知識や使い方を、がんばり屋の女の子、神山さんと一緒に学んでいきましょう!
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「セグメンテーション」「ターゲティング」とSTP分析を進め、前回だいふくにゃんこの「ポジショニング」を決めた神山さん。今回からいよいよマーケティングの実行フェーズ、4Pを使った施策立案の段階に進みます。
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マーケティングの実行に欠かせない! 4つのPとは?

今までに私たちは、自分たちの置かれた環境を分析して強みや弱み、脅威や機会を明確にしてきた。その分析結果を元に、誰にこの価値を届けるべきなのか、誰にとってこの価値が魅力的に見えるのかを検討した。

はいっ!

次はいよいよ価値を届ける方法、つまり売り方を考える段階に入る。前にこの段階で検討するべき4つの項目を挙げたのだけど、覚えているかい?

(あちゃー!)すみません……それぞれの内容はちょっと忘れてしまいましたが…4P……でしたよね?

はは、カタカナと英語が頻出するから無理もないね。そう4Pだ。4Pとは製品(Product)、価格(Price)、流通(Place)、プロモーション(Promotion)のことを示している。実際に販売を行うには、最低限この4つを最初に決めておかねばならない。おのおののPについて説明しておこう。

この4Pの順序には意味があって、私たちの価値(製品)がお客さまに届くまでの活動を順に表している。まずは製品(Product)だけど、今回の場合にはだいふくにゃんこが既に製品としてできあがっている。しかしここで言う製品とは、「品質」「保証」「パッケージ」「ブランド」までを含むものと考える。

「品質」や「保証」を製品に含むのはわかりますが、「パッケージ」と「ブランド」も製品になるのですか?

そりゃそうさ! お客さまが一番最初に目にするのはパッケージだし、中身とパッケージが合わないと違和感があるだろう? 先ほど話したシーブリーズの例でも、デザインを女子高生が使っても違和感のないカラフルな物に変えていた。
シーブリーズの事例を読む

なるほど! 確かに海外の化粧品などでは、パッケージを見ているだけで欲しくなるものがあります。でも価格を見てびっくりしちゃうんですけど……

はは! 男性にはわからない話だけど、想像はつくなぁ。価格の話は次にするけど、価格に納得してもらう要素が「ブランド」「品質」「保証」と言っても過言ではない。

神山:はい。

私たちサンライズカンパニーは、日用品から家電までさまざまな商品を製造し、販売するメーカーだ。お客さまの当社に対する信頼度は、決して低くないと思う。きっと当社の名前に「高い品質」と「製品への保証」を感じていただけるだろう。だいふくにゃんこに付ける当社のタグは、お客さまには安心の「ブランド・タグ」となるんだ。

製品本体はもちろん、「品質」「保証」「パッケージ」「ブランド」、すべてがお客さまにとっての価値なのですね。

そのとおり。そうなると、「パッケージ」はどのようなものがだいふくにゃんこにふさわしい?

まず大事なことは、単なる癒し系のぬいぐるみではなく「デスクでの昼寝の効果を最大化できる、癒し系快眠ぬいぐるみ枕」を訴求することですね! ペルソナの年齢層から考えて、落ち着いた配色で効果を期待させるパッケージデザインをデザイナーさんにお願いしてみます。

いいじゃないか!

タグも上品な色で、当社の名前がハッキリ確認できるものを考えてみます。

そうか! 神山さんは美大のデザイン科卒だったね。これは期待できそうだ、お任せしよう。次は価格(Price)だが、これがなかなか悩ましい。価格については、どう考えている?
安ければいいってもんじゃない!

競合商品として考えていたミケタマちゃんの定価が4,800円、実売価格が3,980円だったので、だいふくにゃんこは定価を決めずに同じく3,980円程度の実売を想定してました。

ふむ。

ただ販売店からは、ミケタマちゃんと同じ棚に並べるのなら、もっと安くないと売れないと言われました。また卸価格も下げてもらわないと、利益が出ないので扱えないというお話もありました。

確かに販売店は数が出て、利益率の良い商品を扱いたがるからね。それで神山さんはどうするつもり? 販売店の言うとおり、ミケタマちゃんを横目で見ながら販売価格を下げて卸価格も下げるのかい?

そうしないと扱ってもらえないのなら、仕方がないかも……販路がなければどうにもなりません。

私はそれは早計だと思う。まずミケタマちゃんとは、異なるポジショニングで提供する価値なのだから価格競争をする必要はない。お互いが値下げ競争になることも望ましくないし、一度下げた価格はもう上げられないだろう。当社は今のところ原価も高く、これ以上利益を圧迫する事はできない。最終的に利益のない事業は続けられなくなるよ。

でもそれじゃあ、どうすれば良いのですか? 販売店が扱ってくれなければ商品を売ることができません! 値下げ以外に方法があるとは思えません……(泣)

本当にそうかな? 社内アンケートでは、3980円という販売価格に対して「ちょうど良い」という回答がもっとも多くて、高すぎるという不満はなかったよね? 4Pを考えていく場合には、それぞれを別に考えるのではなく整合性を意識しなければいけない。

整合性……私は価格だけを考えている、ということでしょうか?

うむ。短絡的に考えて安くするのではなく、もう少し検討してみるべきかな。4Pの整合性を考える上では、特保のお茶の例がわかりやすいかもしれない。神山さんは「特定保健用食品」、つまり特保のお茶を知ってるかい?

はい!体脂肪を燃焼させて痩せる効果が期待できるってお茶ですね。

そうそう。350mlの小さいペットボトルで、他の500mlのお茶に比べて50円程度高い。普通に考えれば、かなり割高だよね。でもこれが売れている。ターゲットは体脂肪が気になりだした「中高年のビジネスマン」だ。実は僕も毎朝……まぁそれはいいとして、なぜ割高なお茶が消費者に受け入れられているのか、わかるかい?

まずは厚生労働省から特保の認可を受けていて、効果がハッキリしていることでしょうか?

そのとおり。製品(Product)として他の商品と差別化ができている。まだあるよ。パッケージでは特保のマークはもちろん、「体脂肪が気になる人」向けであることを明確に表記している。次に流通(Place)だが、ターゲットである「中高年のビジネスマン」が手に取りやすいように、コンビニでの限定販売とした。

なるほど! 渡辺部長のように忙しいビジネスマンでも、24時間営業のコンビニなら買いやすいということですね。

(汗)ま、まぁそうだね。あとはプロモーション(Promotion)だ。発売と同時に積極的なテレビ広告を投入し、認知度アップを図った。また、コンビニとも連携して目立つところに商品を置き、来店客に新機能のお茶であることをアピールした。結果、アンケート調査をしたところ、このお茶を知ったのはテレビ広告が3割、コンビニの店頭が6割という結果になった。

それぞれのPがすべて連携した結果、大ヒットにつながったんですね!

大事なのは整合性。この整合性があるから割高に思えても買ってもらえる。

単純にミケタマちゃんと比べて価格を変えるべきではない、ということですね。

そうだね。早計に価格を変えてはいけない。それほど価格は重要なんだ。とりあえず3980円という販売価格は【仮】にしておいて、販路を考えてみよう。つまり流通(Place)だね。この施策を考えた結果、価格も変わるかもしれない。

4Pって、それぞれに影響し合うのですね! 難しい!

うむ。だから面白いんだ。大切なのは4つのPと、今まで出してきたターゲットへのアプローチの方向づけとの整合性だ。焦らず確実に進めていこう!
まとめ
神山さんは渡辺部長から4Pの概要を聞いて、改めて施策立案の難しさを実感したようです。それぞれに影響し合う4つのPには悪戦苦闘の予感! 次は一番の問題となっている流通(Place)を考えていきます。第10回もお楽しみに!
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