売るための活路を見出せ!SWOT分析にチャレンジ!

From: ダイレクトマーケティングラボ

2018年11月01日 00:00

この記事に書いてあること

マーケティングって、結局どんなことなんだろう。専門的な知識や理論でありながらも、実は私たちの身近にあって、仕事やプライベートを魅力的に改善してくれるものなんです。今日から使えるマーケティングの知識や使い方を、がんばり屋の女の子、神山さんと一緒に学んでいきましょう!

前回は社内へのアンケート調査を行って、ユーザーの声を集めた神山さん。今まで気づかなかった意見をもらって、5F分析の内容やKBFとKSFも見直しました。今回は環境分析の集大成とも言うべきSWOT分析に取り組みます。これまでの分析結果は、今後のマーケティングにどう影響してくるのでしょうか? 弱みや脅威への対策は?

主要キャラクター紹介

神山さとみ

24歳、独身(彼氏ナシ)。サンライズカンパニー第三事業本部商品企画室所属。美大のデザイン科を卒業後、新卒で入社。家電事業の営業アシスタントを1年経験した後、かねてからの希望だった商品企画室に異動。キャラクターグッズ「だいふくにゃんこ」を開発する。

渡辺部長

46歳。妻と2人の子供がいる。サンライズカンパニー営業・戦略グループマーケティング部部長。長らく大手商社に勤め、MBAも取得済み。サンライズカンパニーの社長に請われ、半年前より転職して現職に就いた。

だいふくにゃんこ

神山さんが企画したぬいぐるみ。素材はビーズで、ぷにゅっとした触感が魅力。その何も考えてなさそうな表情が女子社員のハートをとらえ、社内限定で人気上昇中。

いよいよ環境分析のまとめ。4つの分類から戦い方のヒントをつかめ!

部長:

ここまで、3C分析、アンケート調査や5F分析と進めてきたわけだけど、SWOT分析は環境分析の総仕上げだ。SWOT分析がどのようなものだったか、神山さん、覚えているかな?

神山:

はい! SWOT分析は、自社(製品、サービス)の「強み(Strength)」「弱み(Weakness)」「機会(Opportunity)」「脅威(Threat)」の4つの要因を総合的に分析することで、成長するための戦略を練る方法……までは覚えています。

部長:

その通り。なにも難しく考える必要はない。今までやってきた分析を素直に、要因別にまとめてごらん。まずは事実関係を列挙して、われわれの置かれた環境を素直に見つめること。この事実から何が言えるのかをSWOTに整理していくんだ。

だいふくにゃんこのSWOT分析

SWOTファクト

SWOT図

(T)だいふくにゃんこを取り巻く環境は、技術的な参入障壁がなくマネされやすい商品であること、機能的には代替品が既にあるというマイナス要因と、
(O)休憩中の昼寝を国が推奨したり、IT企業での積極導入が始まっているというプラス要因があり、
総合的には(T+O)新しい分野の商品として、他社に先んじてシェアを確保できれば勝てるチャンスがあると言える。
その中で、
(W)販路や知名度の低さ、さらに販売価格の競争力が不十分という弱みをカバーし
(S)枕のぬいぐるみ(快眠ぬいぐるみ)としての強みを活かして勝っていく

神山:

3C分析や5F分析、アンケートの結果も考え合わせてまとめてみましたけど、いかがでしょうか?

部長:

いいじゃないか! 段階を踏まえて分析を進めてきた甲斐があったね。

神山:

ありがとうございます!(ホメられる回数が増えてきたー!)

神山:

でも渡辺部長、新しい強みや機会は見えてきましたが、弱みの「販路がない」「話題性がない(知名度が低い)」「価格を安くできない」は何一つ解決できていませんよね? 特に価格が安くできないのはとてもマズい気がしています。アンケートでは高すぎるという声はなくちょうど良いという結果でしたが、これでは業界内競争に勝てるような気がしません……

部長:

うむ。確かに価格のインパクトは大切だね。しかし、価格をどれくらい安くすれば、だいふくにゃんこがお客さまに魅力的に見えるのかな?

神山:

実際、価格はそんなに安くできないし…だとすると、業界内での競争に勝つためには何が必要なのでしょうか?

部長:

神山さん、私が最初に言ったことを思いだして欲しい。私たちはお客さまに、何を提供するのかな?

神山:

(そうだ!)価値! 私たちがお客さまに提供するのはモノではなく価値でした!

部長:

そう! 「だいふくにゃんこでないといけない理由」、つまりだいふくにゃんこの価値を、お客さまにお届けすることだ。価格ではない価値をお客さまに提供するには、どうすればいい?

神山:

価格ではない価値……販売価格で真っ向から対抗しないってことです…よね?

部長:

そうだね。価格で競争することは、この場合圧倒的に不利だ。そもそも私たちは原価を下げることができない状況だし、無理に価格を下げて赤字で戦うことはできない。同じような状況に置かれて、それでもたくましく生き残っている業界があるけどそれを例に考えてみようか?

神山:

そんな例があるんですか? ぜひ参考にしたいです!

街の電器屋さんに学ぶ! 正攻法だけじゃ弱みは解決しない

部長:

神山さんもよく知っている、街の電器屋さんだよ。ほら、商店街によくあるだろう?

神山:

えっ? あの…ナントカ電器店とかの、電器屋さんですか? 個人経営の?

部長:

そう、その電器屋さんだよ。彼らは昔からある電器製品の販売店だが、1980年頃から増えた家電量販店に押されて、私たちと同じような状況におちいった。

神山:

なぜですか?

部長:

大量仕入れで原価を安くできる家電量販店が、価格で街の電器屋さんを圧倒したし、商品の品揃えも勝負にならなかった。量販店はテレビなどでも大々的に宣伝して知名度を上げ、駅前の一等地に店舗を構えた。これはものすごい脅威だよね。誰もが、もう街の電器屋さんの時代は終わったと考えたんだ。

神山:

確かに圧倒的に不利ですね……… あれ? でもウチの近所の電器屋さんは、まだご夫婦でお仕事をされてますよ? たしか最近は息子さんもお店を手伝っているはずです。

部長:

そうなんだ。なぜだか考えてごらん。街の電器屋さんからお客さまが離れなかった理由。

神山:

価格や品揃えではない価値を、お客さまに提供したからですよね……? うーん?

部長 :

彼らは徹底的に地域密着、顧客密着にこだわったんだ。電器製品が壊れればすぐ修理にかけつけて、電球一個でも付け替えに来てくれる。お客さまの状況も把握していて、買い換えのタイミングや、その家庭に合った製品もオススメしてくれる。

神山:

ふむふむ…

部長:

品揃えはないけれど、カタログを持ってきて丁寧に説明し、購入後は設置も無料でやってくれる。若い人ならまだしも、お年寄りや家電に詳しくない人にとっては、これほど頼れるお店はないだろう? 量販店がとてもマネできないような価値を、街の電器屋さんは提供しているんだよ。

神山:

なるほど。とにかく弱みを解決することばかり考えていましたけど、正面から戦うだけではいけないのですね。でもこれをどうやってだいふくにゃんこの販売に活かしていけばいいのでしょう?

部長:

SWOTで分析したマイナス面とプラス面を見直してごらん。実際の販売ではプラス面は伸ばす工夫を、マイナス面は他の方法で回避する施策を考えていく。まず、強みであげた「快眠できるぬいぐるみ」と「枕のぬいぐるみでは先行優位」はとても良いポイントだ。機会であげた「昼寝は国も推奨」と「IT企業で昼寝は普及」という事実が、この2つのポイントをあと押ししてくれるだろう。

神山:

5F分析の時に、業界を「癒し系ぬいぐるみ」から「快眠ぬいぐるみ」に変更したのは正しかったんですね! となると、同じく強みに分類した「枕のぬいぐるみでは先行優位」を活かせば、「新規参入」や「同じ機能の代替品」の脅威に勝てそうです!

部長:

そのとおり! 普及させる、つまりシェアを確保するには、的確なターゲットに素早く商品を届けてしまうことが重要だ。弱みとしてあげた「販路がない」「話題性がない(知名度が低い)」を解決するには、まず届けたいターゲットを定めることが先決だよ。

神山:

ターゲット! 今までは漠然とアラサー女子に買ってもらえそうと考えていましたが、アンケートの結果からも、もう少しちがうお客さまが見えてきそうですね!

部長:

では神山さん、次のステップ、セグメンテーションの確認と、ターゲティングの設定に移ろう。これは具体的な販売方法を考える前に、誰に、どうやって価値を訴求していくかを決めるステップだよ。

神山 :

いよいよ反撃って感じがしてきました!

部長:

はは。ここまで来ると、早くお客さまの手元にだいふくにゃんこを届けたくてワクワクしてくるよね。アンケートでもわかったように、私たちの商品には確かに価値がある。それを必要とするお客さまに、確実に届けよう!

まとめ

神山さんはSWOT分析を通じて、「だいふくにゃんこ」販売の活路が見えてきたようです。次回はいよいよ弱みを解決するために、本当のお客さまは誰なのか?価値を届けるターゲットを定める段階に入ります。第7回もお楽しみに!

6回のまとめ

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