マーケティングにも地図がいる

マーケティングって、結局どんなことなんだろう。専門的な知識や理論でありながらも、実は私たちの身近にあって、仕事やプライベートを魅力的に改善してくれるものなんです。今日から使えるマーケティングの知識や使い方を、がんばり屋の女の子、神山さんと一緒に学んでいきましょう!
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神山さとみはさまざまな商品を製造・販売するメーカー「サンライズカンパニー」の商品企画室に所属している24歳。若い女性目線で企画したキャラクターグッズ「だいふくにゃんこ」が社長の目にとまって商品化されました。
しかし神山さんが日々の業務に追われているうちに、だいふくにゃんこのぬいぐるみが倉庫一杯の在庫に。呆然とする神山さんの前に現れたのはマーケティングの達人・渡辺部長。前回、神山さんは渡辺部長からマーケティングの本質を教わりましたが、だいふくにゃんこのぬいぐるみはまだまだ倉庫に山積みのまま……。具体的に何から手をつければいいのでしょうか?
主要キャラクター紹介
【復習】マーケティングで重要なのは『消費者のニーズの把握』と『選ばれるための戦略』

はぁー……

ため息をつくと幸せが逃げるよ、神山さん。一体どうしたんだ?

あ、渡辺部長……。だいふくにゃんこのぬいぐるみを取り扱ってもらえるように、いろんな店舗にお願いしてるんですけど全部断られてしまって……。このままでは、だいふくにゃんこが倉庫を圧迫する一方です。もうどうしていいかわからなくて、頭がパンクしちゃいそうです

だいぶ参っているようだね。それでは、今からすべきことを整理してみようか

よろしくお願いします!(助かった!)

前回、マーケティングにおいて最も重要なことを話したけど、神山さんは覚えているかい?

はい!『消費者のニーズの把握』と『選ばれるための戦略』です!

その通り。お客様がだいふくにゃんこを欲しがる理由を把握し、ほかのぬいぐるみではなく、だいふくにゃんこでなくてはダメだと思ってもらわないといけないんだ

でも、ニーズとか戦略って難しくて、よくわかりません……

キャラクターグッズを取り扱っている店舗だって、ボランティアをしているわけじゃない。お客様のニーズに合致していたり、これから流行る商品を置きたいと考えているんだ。いくら熱心に営業をかけても、神山さんがだいふくにゃんこの強みを把握していないのでは、取り扱ってもらうのは難しいだろうね

グサッ。胸に刺さりました……。だいふくにゃんこの良いところを語れないなんて、わたしは生みの親失格ですね

ははは、そんなに落ち込むことはないさ。神山さんはすでに実践的なマーケティングの第一歩を踏み出していると思うよ

と、言いますと?
マーケティングの進め方3ステップ【概要編】

マーケティングをはじめるにも「地図」が必要なんだ。今回はマーケティングを進める上での大筋の流れを説明しよう。マーケティングというのは基本的に、環境分析→戦略の立案→施策の立案という順で進めていく。まずは環境分析からだ
『環境分析』自分の置かれている状況を知ろう

最初におこなう『環境分析』というのは大まかにいうと、定めた目標に対し、現在の状況を洗い出していく作業だよ。やり方はいくつかあるが、今回はマーケティングの基本であるSWOT分析を紹介しよう
自社(製品、サービス)の「強み(Strength)」「弱み(Weakness)」「機会(Opportunity)」「脅威(Threat)」の4つの要因を総合的に分析することで、成長するための戦略を練る方法。

まずは目標をはっきりさせよう。今回の目標と、それを達成したいと思っている人は誰かな?

えっと……目標は「だいふくにゃんこのぬいぐるみを売ること」ですよね。売りたいのは「サンライズカンパニー(組織)」であってますか? 「神山さとみ」も個人的にすごく売りたいですけど……

神山さんは筋がいいね。……するとこの場合、(神山さとみを含む)サンライズカンパニーが「だいふくにゃんこのぬいぐるみを売る」目標を達成するために、だいふくにゃんこのSWOTの4要素を分析する必要がある、ということになる

それで何がわかるんですか?

だいふくにゃんこの現状だよ。具体的にいうと、「だいふくにゃんこの商品自体の強みや弱み」「だいふくにゃんこはトレンドとあってるか」「だいふくにゃんこの流通を阻害している競合他社の商品について」などかな

強みは癒しキャラなのと、肌触りがいいこと、弱みはインパクトが弱いこと。トレンドは外してないはず、競合製品はミケタマちゃんですね……

実際にはもっと詳細に分析する必要があるけど、簡単にいうとそうだね
環境分析とは、定めた目標に対し、商品や自社が置かれている状況を分析すること。
『戦略の立案』市場を定め、どんな価値を提供するか決めよう

環境の分析が済んだら、それをもとに『戦略の立案』をしよう。私たちがどんなお客様にどのような価値を提供するのか明確にするためには、3つの要素を押さえておく必要がある。「セグメンテーション」「ターゲティング」「ポジショニング」だ

カタカナだらけで混乱してきました……

落ち着いて。セグメンテーションは日本語でいうと細分化だ。ぬいぐるみが欲しい人は世の中にたくさんいるが、それぞれニーズが違うから、ニーズごとにお客様を分類しグループ化するんだ。次にターゲティング。セグメント化したグループのうち、だいふくにゃんこが刺さりそうなグループを選定する。ここで大切なのは、環境分析をもとにだいふくにゃんこのターゲットを細かく絞ることだ

うーん、だいふくにゃんこは「肌触りのいいゆるキャラの白猫」……。それが刺さりそうなお客さんをターゲットに設定するんですね

そうだ。そして最後にポジショニング。だいふくにゃんこはお客様にとってどんなベネフィット(利益)があるのかを検討し、ポジションを明確にする必要がある。競合のミケタマちゃんより優位に立ったり、ミケタマちゃんと差別化をはかることで、「だいふくにゃんこじゃないとニーズを満たせない」とお客様に思ってもらうんだ

ただ店舗においてもらうだけでは、「似たような商品だからミケタマちゃんでいいじゃん」と思われてしまうんですね。だから取り扱いを断られちゃったのか……。でも、自分で言って落ち込みそうなんですけど、だいふくにゃんこってちょっとミケタマちゃんと被ってるんですよね……

芸術というのは必ず模倣から生まれるものだよ。まったく被らない商品を生み出すというのは非常に難しいんだ。だからこそ、『施策の立案』が大事なんだ。環境を分析して戦略を立てた。次は競合他社に勝つためにいい施策を打たなくてはいけない
戦略の立案とは
1.セグメンテーション…市場細分化 市場をニーズ・特徴・行動などをもとにグループ分けする
2.ターゲティング…グループ分けしたなかから、どのグループを標的にするか決める
3.ポジショニング…優位となるよう、他社との差別化をおこなう
これら3つを分析し、競合他社に勝てる戦略を考えること。
『施策の立案』売り方=価値を届ける方法を考えよう

施策を考える……つまり、売り方で差別化をはかるということですね

わかってきたね。マーケティングには4つのPがある。「製品(Product)」「価格(Price)」「流通(Place)」「プロモーション(Promotion)」で4Pだ。だいふくにゃんこの4Pについて検討してみよう

製品はだいふくにゃんこのぬいぐるみです。価格は若い女性が買いやすいように安めに設定してます。そのぶんたくさん売らなきゃいけなくて、在庫の山になっちゃったんですけど……

買いやすい価格帯というのは十分なアピールポイントだよ

ですよね。でも流通は全然です。サンライズカンパニーはキャラクターグッズを販売したことがないから、販路はこれから開拓しなくてはいけません。プロモーションは、大手のミケタマちゃんみたいにバンバン広告を打つのは難しいです……

ほら、落ち込まない。駆け足で見てきたけど、少しはこんがらがった問題が整理できただろう

はい! やるべきことや進め方がわかると、心が軽くなりますね

その通り。では次は、もっと詳しく状況を整理していこう。まずは環境分析からだ。覚悟はいいかな?

バッチリです! 絶対にだいふくにゃんこをお客様に手に取ってもらいたいです!

ははは、その意気だよ
施策の立案とは、4つのP(「製品(Product)」「価格(Price)」「流通(Place)」「プロモーション(Promotion)」)を検討し、他社と差別化を図ること。
まとめ
今回、渡辺部長はこれからやるべきことの順序や進め方を神山さんに示しました。環境を分析し、戦略を立案し、施策を立案する。マーケティングを始めるにも、道筋を記した地図が必要なのだということを神山さんは学んだのです。

第3回では、倉庫で山積みになっているだいふくにゃんこと、神山さんが置かれている環境を詳しく分析していきます。だいふくにゃんこがお客様の元に届き、可愛がられる日を夢見て、神山さんは今日も頑張ります!
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