君が売るのは「モノ」じゃない

マーケティングって、結局どんなことなんだろう。専門的な知識や理論でありながらも、実は私たちの身近にあって、仕事やプライベートを魅力的に改善してくれるものなんです。今日から使えるマーケティングの知識や使い方を、がんばり屋の女の子、神山さんと一緒に学んでいきましょう!
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日用品から家電まで、さまざまな商品を製造し、販売するメーカー「サンライズカンパニー」。商品企画室で働く女子社員の神山さとみは、若い女性目線からキャラクターグッズの「だいふくにゃんこ」を企画。これまで、同社ではあつかったことのない「ぬいぐるみ」というジャンルでしたが、チャレンジ精神を良しとする社長の目に留まり、製品化が決まりました。
発案者の神山さんは、商品デザインに製造の発注、商品のできばえのチェックと、目の前の業務に追われ、あわただしく日々が過ぎていきました。そして、気が付いた時には、倉庫に大量の「だいふくにゃんこ」が……。初めてのジャンルで誰も勝手が分からない中、数字だけが独り歩きしてしまったのです!
神山「これ……誰がどうやって売るんだろう……。うう、不安になってきたなぁ……」
社長「なにを言ってるんだ。発案者のキミに決まってるじゃないか」
神山「――えっ! わたしですか!!!!!!」
社長「大丈夫、大丈夫! 頼もしい助っ人を付けるから! じゃ、あとはよろしく!」
かくして、「だいふくにゃんこ」を売るための、神山さんの「マーケティング道」が始まったのでした……。
主要キャラクター紹介

いきなり販売担当に命じられるなんて、どうしよう……。こんなにたくさんのぬいぐるみ、どうやって売ればいいのかわからないよ……!

なるほど、これが社長のおっしゃっていた『ミッション』か。なかなか壮観だね

あなたは?

初めまして。部長の渡辺です。マーケティングを専門としている。神山さんに力を貸しにきたんだ

し、失礼しました! わたしは神山さとみです。この『だいふくにゃんこ』の企画と製造を担当しました!

うん、知ってるよ。ウチの部の女子社員にも大変な人気だからね。それにしても、この量は……

ええ、作り過ぎた気がしています。もう、どうしていいかわからなくて……

混乱しているようだね。まずは問題を整理しよう。神山さんはこのぬいぐるみの山、つまり在庫をどうしたいと考えているんだい?

せっかく作ったんだから、みんなの手に届けたいです! でも、こんなにたくさんあると、売る方法がわからなくて……。渡辺部長は、マーケティングの専門家ってうかがっています。どうすればいいか、わたしに教えていただけませんか?

もちろん。そのために私は来たんだよ。だから、そんな泣きそうな顔をするのはやめなさい

は、はいっ! それで何かいい方法は……

その前に質問だ。そもそもマーケティングとは、いったいなんだと思う?

……急に言われても、考えたこともないです。えーっと、物を売ること、ですか?

間違いではないが、それだけでもないんだ。マーケティングとは、お客様に「価値」を届けることなんだ

価値、ですか……。商品ではなく?

そう。お客様、つまり消費者は商品に付随している「価値」を求めているんだ。私たちは価値を商品として形にし、それを販売することで対価を得ているというわけだね

よくわかりません

では消費者の目線に立ってみよう。もし神山さんがお客様なら、なぜ、だいふくにゃんこを買うのかな?

そうですね……かわいいから、でしょうか

そうだね。かわいいものを所有したい。かわいいもので部屋を飾りたい。ゆるキャラを集めたい。人によって理由は違うかもしれないが、消費者が欲しがっているのはぬいぐるみそのものじゃない。ぬいぐるみに付随する、なんらかの「価値」なんだよ

なるほど! そういわれてみれば、ぬいぐるみならなんでもいいというわけではありませんね

いいところに気が付いたね。だいふくにゃんこのぬいぐるみを買い求めるお客様には、だいふくにゃんこでないといけない理由があるんだ。だいふくにゃんこに価値を見出す消費者こそが、私たちのお客様になりうるということだね

あせって売ろうとしても、だいふくにゃんこに興味がない人にとっては「価値」がないから、買ってもらえないということですね

そのとおり。私たちは価値を受け取ってもらうために、消費者のニーズを正しく把握しなくてはいけない。神山さんが言った、「かわいい」という価値を持つ競合他社の商品は世の中にたくさんある。たとえば、ピュアランド社の「ミケタマちゃん」グッズとか……

うう、悔しいですけど、かわいいですもんね。わたしも持っています

ウチの娘も夢中だよ。だが私たちは、ミケタマちゃんだけではなく、だいふくにゃんこも消費者に選んでもらわなくてはいけない

ミケタマちゃんがあるから、だいふくにゃんこはいらないと思われてしまったら、売れませんね

そういうことだ。神山さんが考えるべきなのは「選ばれるための戦略」だよ

なんだか、頭が痛くなってきました

問題は、なるべく小さく切り分けて考えるようにしたほうがいい。大事なのは「消費者のニーズの把握」と「選ばれるための戦略」だよ

わたしに、できるでしょうか?

神山さんが、やらなくちゃいけないんだ。大丈夫、私がついているよ。ひとつずつ問題を洗い出していこう

は、はいっ!(正直、まだよくわからないけど)よろしくお願いします!
まとめ
こうして、神山さんは渡辺部長とともにマーケティング道への一歩を踏み出しました。

しかし、さっそく、だいふくにゃんこの価値を知ってもらおうと動き始める神山さんですが、その奮闘もむなしく、あちこちの店舗で販売を断られてしまいます。次回は、ゴールまでの道筋に向かって、まずは何から着手すれば良いのかを、渡辺部長に教えてもらいます。第2回もお楽しみに!
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