受注率400%UP!リコーが取り組むデジタルマーケティング

過日(株)翔泳社様主催で開催されましたMarkeZineDay2018 Autumnにて、「受注率400%、リコーが取り組むデジタルマーケティングの事例」と題し、弊社3D事業推進室・星野とマーケティングサービス推進室・鶴野によるセミナーを行わせていただきました。
リコーがデジタルマーケティング推進する背景から実際の運用内容まで、3Dプリンター事業の事例を元にご紹介させていただきます。
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セミナーレポート
リコーでは元々対面営業が中心でしたが、近年は様々な環境の変化に対応するため、非対面でのデジタル営業を推進しています。
どのような環境の変化があり、どういった対応をしてきたのか?
そして、どのような結果が出ているのか?
実際にデジタルマーケティングの実務を担っている両名が、現場の生の声をお話しさせていただきます。
<MarkeZineDay2018 Autumnについてはこちら⇒https://event.shoeisha.jp/mzday/20180920>

リコージャパン株式会社
産業ソリューション事業部 3D事業推進室
デジタルマーケティングスペシャリスト 星野

リコージャパン株式会社
PP事業部 マーケティングサービス推進室
マーケティングコンサルタント 鶴野
対面営業から非対面デジタル営業への変化
従来、リコーでは1万人近くの社員が対面営業を行い、各企業のオフィス全般に関するお悩みを聞いてソリューションの提案を行ってきました。
しかし昨今では、ビジネス環境の変化による外部的要因や、社内リソースに伴う内部的要因により、非対面デジタル営業を含めたアプローチの重要性が高まっています。
外部的な背景
最も大きな要因は、ネットの発達により、顧客が自ら情報収集や製品・ソリューションの選択を行うようになったことです。そのため、営業社員が各オフィスを回って顧客の相談に応じてきた対面営業だけでは、顧客のニーズをキャッチアップするのが後手になってしまい、提案の機会を失ってしまうことに繋がっていました。
実際に弊社のお客様にアンケートを行った結果、多くの顧客が営業にコンタクトする前に、自身でソリューションの選択を行っているというデータも出ております。(※アンケート詳細は資料をダウンロードいただくと記載がございます)
従来の対面営業のスタイルが通じにくくなってきたため、顧客の情報収集の段階からサポートできる非対面型のWEBによる接点活動の必要性が高まってきたのです。
内部的背景
かつてはコピー機・プリンター等の販売を中心に行ってきたリコーですが、お客様の仕事における幅広いニーズにお応えするため、ITインフラ環境構築やオフィスレイアウト、さらには販促マーケティングの支援までトータルコーディネートを行うような形にシフトしていきました。
その結果、現場の営業が取り扱う商材が多くなりすぎて営業個人では説明しきれないケースや、既存顧客のフォローに注力するあまり新規顧客の開拓ができないケースが生まれてしまいました。
このため営業活動の効率化、現場の営業をフォローするという面でも、非対面のデジタル営業が推し進められました。
3Dプリンター事業におけるデジタルマーケティング
ここからは上記のような要因を元にリコーが取り組んだデジタルマーケティングの中で、3Dプリンター事業が直面した課題と、その解決方法を紹介していきます。
事業を開始した当時は3Dプリンターの認知度がまだ低く、また従来の総務や情シスといった販売チャネルでは案件にならないことが発覚したため、非対面(WEB)を使った接点の獲得と3Dプリンターに関する啓蒙を行いつつ、営業に繋ぐことが必要でした。
そこでデジタルマーケティングの核となるWEBサイトを立ち上げ、積極的に開催したイベントやセミナーでは、その集客をメール配信にて行い、発生したコンバージョンを営業に直接繋いでいく方法を採ったのです。
しかし、推進していく中で以下の問題が露呈しました。
・営業に渡すコンバージョンの「量」の不足
・営業に渡すコンバージョンの「質」の不足
それぞれをどのように解決していったのか、下記ご紹介させていただきます。
営業に渡すコンバージョンの「量」の不足の解決方法
WEBサイトを作った当初は商品カタログのようなものだったので、具体的に3Dプリンターの比較検討段階に入った顧客には一定の価値がありましたが、具体的に比較検討を行う以前のユーザーに対しては訴求するポイントが少なく、せっかくWEBサイトを見に来てくれた人の滞在率が低いなどの欠点があることがわかりました。
結果として、コンバージョンの内容も商品やカタログの問い合わせがメインとなっていたのです。
そこでリコーでは、『ユーザーの購入フェーズに応じたコンテンツ』の整備を行いました。
それまでは“3Dプリンターの選定方法”や“商品詳細情報”など、既に製品に興味関心を持っていたり、製品の比較検討段階に入っている顕在顧客に対するコンテンツしかなかったのですが、 “3Dプリンターがどのようなことに利用できるのか”や“どのようなメリットがあるのか”などの潜在顧客に向けたコンテンツを設けることにより、コンバージョンへの導線を繋げたのです。
また実際に足を運んでもらうショールームの紹介ページにも、そこを訪れるとどのような情報が得られるのかを、実際にご来訪された方の声や動画、展示物の詳細等を交えて記載するようにし、WEBページ上でどんなコンテンツを提供しているのかを一覧で見られるようにすることで閲覧者が引き込まれていくような工夫を凝らしました。
さらに、ユーザーが見たコンテンツ毎に各ユーザーを「潜在ユーザー」「準顕在ユーザー」「顕在ユーザー」等20セグメント程度に分類し、単に広告を出すだけではなくセグメント毎に『広告の種類を分ける』試みも行いました。
もう一つ、メールによる『ナーチャリング』も実装しました。
約20のシナリオを用意して、メールのシナリオの目的・リーチ対象・除外対象・シナリオのゴールを設定し、見込客を顧客にできるようにメール配信を実施しています。
これらを行った結果、WEBサイト立ち上げ初期と比較して、WEBの訪問数は260%アップを達成し、コンバージョンの数は400%のアップに成功したのです。
営業に渡すコンバージョンの「質」の不足の解決方法
当初は上がってきたコンバージョンをそのまま営業に渡していました。
しかし現場の営業からは、「検討初期のお客様と後期のお客様が混在していて効率的な営業ができない」「本当のセールスがまだ動くべきでない状態のものもあるので、時間の無駄が発生する」と言った声が上がりました。
ユーザーがWEBから判断できる情報は限られていると考え、ユーザーのニーズを精査して効率良く営業に繋げるシステムが必要との結論に至り、営業からの声を解決するために実施したのが『インサイドセールスの強化』です。
具体的には、電話で顧客の課題や3Dプリンターを導入する目的等をヒアリングするフェーズを導入し、購入に対する温度感を評価した後に営業に情報を渡すようにしました。 インサイドセールスで温めたユーザーを適切なタイミングで営業に渡すシステムを実行することで、効率的な営業が可能になり、結果としてWEBからの受注率は6.4%から25.4%になり、約400%ものアップに成功しました。
まとめ
様々な課題が見つかった3Dプリンター事業ですが多くの取り組みを実施した結果、3Dプリンター事業全体の売上に対してデジタルマーケティングを経由した売上が66%を占める程になりました。
もしデジタルマーケティングを適切に行わず、対面営業にこだわっていたらこういった結果は出せなかったかもしれません。
推進していく中で常に課題は出てまいりますが、種々の課題を適切に分析して乗り越えていくことが、非対面営業においても重要と言えるでしょう。
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