【レポート】購買行動をおこさせるテクニックとは?行動心理と事例③
2017年10月03日 00:00
この記事に書いてあること
第3回は顧客がある商品・サービスの存在を知ってから、購入するまでの“7つの購買段階”のプロセスから、「比較・確信」、「決断」フェーズに活用できるランニングページ事例とセミナーのまとめをお届けいたします。
講師のインターコネクト社 神部雅之氏
財布の紐が思わずゆるむ! 行動心理と活用例18選
行動心理は、数え方によっては100以上もあると言われています。しかし、購買段階と結び付けた説明はあまりされていません。これでは、行動心理を効果的に使うことは難しい。そこで、今回は実際に広告表現で使われている行動心理を18個ピックアップし、購買段階と結び付けてご紹介していきます。
その12:ハロー効果(有効段階:比較・確信)
私たちが商品やサービスを評価するとき、その商品やサービスの目立つ特徴に引きずられてしまいます。そのあげくに、評価が歪んでしまう。また、見た目やネームバリューに左右されてしまったりする。これをハロー効果と言います。
これはあるサプリのランディングページの事例です。ここでは、あるご意見番タレントY・M氏が商品を使用した後の実感を語っています。このように、皆さんがタレントY・M氏のキャラクターを知っていて、「あの辛口なY・M氏が言うなら本当に効果があるのかもしれない」と思える。これがハロー効果であり、商品に後光が差している状態を演出できるのです。
その13:社会的証明の原理 (有効段階:比較・確信)
社会的証明の原理とは、自分の判断よりも、周りの判断を優先してしまうというものです。これは、誰かタレントが言っているとかではなくて、自分と同じような人たちの判断を頼りにしてしまうというのもので、お客さんがなかなか判断が下せないようなときに使うと効果的です。 「みんなそうなら多数派の判断が正しいのだろうな」と思ってしまうのです。ダイエットサプリの事例をご紹介します。
売上No.1という社会的証明がまず一つあります。そして、もう一つが「販売実績2億食突破」ということ。このように社会的に認められている証明を打ち出すことで、本気で痩せたいと思っている人たちは「みんなが買っているし、他に手を出すならこれにしようかな」という気持ちになるのです。
その14:同調現象 (有効段階:比較・確信)
同調現象とは、みんなと同じだと安心するというものです。社会的証明の原理やハロー効果と違う点は、自分が他人と違うという点に不安を感じているところです。主体性がないわけではなくて「こう思っているのだけれども、ひょっとしたら私だけ浮いてしまっているかも…」そういう不安が根っこにある。だから、行動に移せない。そんな状態の人には、同調現象を利用したアプローチをすると効果的です。女性向けの転職サイトの事例をご紹介します。
「約70%の女性が定年まで又は一生涯働きたい」と書いてありますが、このサイトに訪れた人はどんな動機で転職しようとしているのでしょうか?お金のためというより、もしかしたら自分らしさや生きがいのために働きたいと思っているかもしれない。最近は働く女性が増え、話題になることもしばしば。一方で、女性には転職以外にも家庭に入ったり、子育てをしたり、男性に比べて選択肢に幅があります。だからこそ、働くことへの疑問を持ち、「私って少数派?」と不安に思うかもしれません。そんなとき、約70%の女性が働きたいと考えていると伝えられると、不安を払拭することができて転職に前向きに動きだせるかもしれませんよね。
その15:テンション・リダクション効果 (有効段階:決断)
無抵抗の「ついで買い」を誘ってしまうのがテンション・リダクション効果です。人は、買い物するときに商品が高額であればあるほど集中力が上がり、緊張状態になります。5万円、10万円、あるいは100万円を超すような高額な商品を買うときはものすごくテンションが上がる。ところが、一旦買うと決めた瞬間にテンションが急降下し、緊張状態がとけてしまう。これをリダクションといいます。このタイミングで他の商品を勧められると、警戒心が薄れているため思わず「ついで買い」をしてしまうのです。
あるコーヒーメーカーを購入すると、このように商品購入画面の直下に関連商品が提示され、「ついで買い」を誘うようになっています。
その16:希少性の原理 (有効段階:決断)
その時を逃したら二度と手に入らないと思うと、つい手が出やすくなる。これが希少性の原理です。エイジングケアサプリの無料モニター募集の事例をご紹介します。
まず「無料モニター募集中!」というコピーがある。ここで「私、ちょうどラッキーなときに来たんだ」というように思わせる時間の限定が1つあります。さらに、通販限定ということで、機会の限定があります。ここで2つ。下へいくとWEB限定とあり、また機会の限定が出てきます。そして、先着3000名という数量の限定。この中に最低でも4つ。こんなに限定されると、気になってしかたないですよね。
その17:アンカリング効果 (有効段階:決断)
アンカリング効果 とは、最初に提示された数字や事実が基準になって、後から提示されたものへの判断が大きく左右されることを言います。仮に、あなたが予算3万円で炊飯器を買いにきたとします。にもかかわらず、あるPOPに「定価7万円 ⇒ 商品入替のため50%OFF! 3万5,000円」と書いてあったら、心がゆらいでしまいませんか?本当は予算3万円のはずなのに、7万円が半額になるというその落差のインパクト。つまり、3万5,000円も安くなるという事実に惹かれてしまって、自分の予算より上回っていても、すごくお買い得だ、買わなくてはと思ってしまう。これが、アンカリングの効果です。
その18:損失回避の法則 (有効段階:決断)
最後にご紹介するのが損失回避の法則です。10万円を得るということと、自分が今持っている10万円が無くなってしまうこと。皆さんはどちらの方がショックですか?同じ10万円であっても、やはり得ることより、持っているものを失うとことの方が重大に感じてしまうのではないでしょうか。人は得するよりも損をする方に、敏感にできているのです。そして、その状況をなんとしてでも避けたいと思って行動する。これが損失回避の法則です。
またまたダイエット商品の事例ですが、この商品には「これでもか!」というくらい特典が付いていました。30日分が実質無料、送料無料、90日間全額返金保証など「この商品が私に合わなかったらどうしよう…」というお客さんの不安に応えるためにさまざまな特典を用意している。 こうすることで、損失を回避したいという思いに応え、購入を促しています。
最後に:顧客心理に合わせるだけで、レスポンスに違いが出ます。
ここまで18の行動心理を紹介してきましたが、お気付きのように具体例というのは皆さんが毎日イヤというほど見ているものばかり。
一方で、販促や制作に携わっているときは、これらの行動心理が頭から抜け落ちてしまうことがよくあります。それは、日々制作に携わっている私たちでも同じです。だからこそ、「この制作物、ちょっとパンチ足りないな」とか「何か沁みてこないな」というときには、お客さんと同じ心理状態でランディングページなど広告を見直すことが大切なのです。必要な場面でひと工夫加えるだけで、レスポンスは改善することができます。今日お話ししたことをぜひ皆さまのお仕事にお役立てください。本日は、ご静聴ありがとうございました。
セミナー動画
心理テクニックがてんこ盛り?欲しいの心理学特別編Vol.3
株式会社インターコネクト クリエイティブディレクター
神部 雅之 氏
講演日:2017年07月12日
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