顧客の気持ちをキャッチする【効果的なCRMの基本】

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セミナーレポート

CRM(カスタマリレーションマネジメント)は、顧客とコミュニケーションをとりながら、企業や商品をより好きになっていってもらう手法です。 今回は、そのCRMがどういうものか、そしてどう使いこなすか、そういったことを説明していきます。

見込み客獲得と顧客維持のサイクルで売上を拡大する。それがCRMです。

はじめに、CRMの全体概要からご説明します。CRMは、見込み客獲得と顧客維持の2つのフェーズに分けられます。見込み客獲得フェーズの目的は、商品を買ってくれそうな見込み客を発見し、フォローしていき、商品を買ってもらうことです。一般的に、このフェーズは非常にコストがかかると言われています。いわば投資です。そして、見込み客獲得をしたら、次の顧客維持フェーズでリピートを促進し、投資コストを回収していきます。このサイクルをまわすのがCRMです。もう1つポイントなのが、CRMにとって広告は売り場そのものということです。つまり、広告の目的は知ってもらうことではなく、行動してもらい、レスポンスを得ることとなります。

CRMの全体概要図です。

時間とともにコミュニケーションを変化させ、優良顧客化を実現します。

CRMにおいて重要なのが、時間を追うにしたがって、顧客が商品を買う理由、企業が訴求する内容が変わるということ。つまり、時間経過にともなって顧客とのコミュニケーションが変わるのです。はじめは、物・サービスの機能価値を提供していきます。これは、何か物がほしい、何かサービスを利用したいといった欲求に応えるためです。また、この時にその企業が顧客のどんな思いを叶えるために商品を作ったかなどを伝えるとより効果的です。

そして、ある程度時間が経過すると、顧客にとって機能価値は当たり前のものになってきます。そこで、大切なのが商品やサービスのイメージに共感してもらい、ブランドを好きになってもらうこと。こうすることで、顧客は「このブランド、この企業が好き、だからここで買い続けよう」「他の商品もここで買おう」と思うようになり、企業やブランドのファンへと変わっていきます。

顧客が買う時間軸とコミュニケーションストーリー

RFM分析で顧客を分類すれば、コミュニケーションの目的が明確になります。

続いて、どうやって顧客管理をしていくか、というお話をします。顧客管理の手法の中で、もっともベーシックなのがRFM分析です。 通信販売業や小売業でもよく使われています。Rがリーセンシー(直近購入日)、Fがフリークエンシー(購入頻度)、Mがマネタリー(購入額)。これらの頭文字をとって、RFM分析としていますが、単に語呂がいいからではなく、実はこの頭文字はプライオリティー順に並んでいます。よくある間違いが、購入額を優先順位のトップにしてしまうこと。 実は、一番重要なのは直近購入日です。 なぜなら、1年に1度100万円購入してくれるお客様より、1週間に1回1万円使ってくれるお客様の方が、 継続的に利用してくれる可能性が高いからです。

RFM分析による顧客管理とデータ活用

では、RFM分析をもとに、顧客とどんなコミュニケーション活動をしていけばよいのでしょうか?

顧客の分類と4つのコミュニケーション活動

まずは、顧客の分類と必要なコミュニケーション活動が一目でわかるように整理してみましょう。 下記の表のように、縦をR軸、横をF軸にして顧客を分類するとわかりやすくなります。

顧客の分類と4つのコミュニケーション活動です。

4つのコミュニケーション活動の目的をまとめると、以下のようになります。

1:見込み客の新規顧客への引き上げ
2:新規顧客の継続購入・優良顧客への引き上げ
3:購入をしぶっている注意見込み客・離脱見込み客の離脱阻止
4:優良顧客の離脱阻止、離脱してしまった優良顧客の引き上げ

これらのコミュニケーション活動の中で重要なのは、2つの要素を連動させていくことです。 1つはインセンティブプログラム。もう1つはリレーションシッププログラム。 これらを使って、顧客とコミュニケーションをとることで、効率よく顧客単価を向上させられます。ただし、過度なインセンティブは禁物です。ポイントプログラムなどをおこなえば、当然利益を圧迫することになります。 だからこそ、むしろお客様とどう絆を深めていくかというリレーションシッププログラムを考えるべきなのです。

「健康食品」通販会社のコミュニケーションプログラム事例

次に、私が実際に関わった健康食品通販会社のCRMのプログラムをご紹介します。 その会社は、直近購入日・購入頻度をもとに顧客を分類し、次のような6つのコミュニケーション活動を実施していました。

「健康食品」通販会社のコミュニケーションプログラム事例

1:サンプル送付時のコミュニケーション

挨拶状、コンセプトブック、商品カタログ、商品チラシの4点セットを送り、購入を後押します。

2:初回商品送付時のコミュニケーション

挨拶状、コンセプトブック、商品カタログ、会報誌、アンケートハガキの5点セットを送り、関係性を深めます。

3:フォロープログラム

サンプルを請求してくれた人・初回購入してくれた人を継続購入へつなげるために、商品発送から約45日間4つのフェーズでフォローしていきます

5〜10日後:お礼・着荷確認のお電話(セールス色は出しません)
20日後:ダイレクトメールで購入を促進
30日後:電話で購入を促進(この電話で購入してくれれば10%OFFなどのオファーをつけます)
45日後:ダイレクトメールで再プッシュ(大幅な割引オファーをつけます)

4:見込み客復活・新規顧客復活プログラム

45日間のフォローをしても離脱してしまった顧客は、DMなどを用いて購入意向再促進と新規顧客化を図ります。※離脱してしまったとはといえ、顧客リストが無駄になるわけではありません。たとえば、顧客リストとDMを組み合わせたものを「新規メディア」として考えてみましょう。そして、見込み客としてアプローチをかけてみる。すると、新しいメディアを開拓するよりも効率よく新規顧客の獲得ができた、ということも起こりえるからです。

5:顧客維持プログラム

インセンティブによる特別感の演出・リレーションシップ強化を実施し、継続購入・客単価アップを狙います。

インセンティブによる特別感の演出
・継続定期購入割引
・新商品の先行販売
・購入回数別特典
リレーションシップによる顧客の育成
・会報誌の提供によるコンセプトの刷り込み
・ご紹介キャンペーンなどのMGM
・健康セミナーの開催
・工場見学
・グループインタビュー

6:継続顧客・優良顧客復活プログラム

今までよく買ってくれていたのに、最近、買ってもらえなくなってしまった顧客に対してヒアリングを実施。年4回DMを送るのはもちろんのこと、顧客に直接電話をかけ、購入しなくなった理由を聞き出し、可能な限り解消します。もし、クレームが出てきたら、その顧客はまだ企業に興味関心があるということです。 その時は、顧客の意見を聞いてあげましょう。 そうすることによって、あの企業は私の意見を聞いてくれたと、逆にファンになって戻ってきてくれる可能性があるからです。

「レスポンス率最大化」の近道は、正しいテストです

新規顧客獲得、既存顧客維持どちらにおいても、CRMの強みはレスポンスを獲得し効果測定できる点です。テストで効果測定してから、ロールアウト(本番へ拡大)することで、博打のような広告をせずに済みます。そこで、ここからはレスポンス広告の押さえておきたいポイントと、テスト例をご紹介します。

レスポンスを獲得する「4・4・2の法則」

ダイレクトマーケティング業界では、レスポンスは3つの要素で決まると言われています。 そして、それぞれがどれくらいの影響を与えるのかをパーセンテージ化したものが「4・4・2の法則」です。

①誰に? ターゲット:ターゲットやメディアの選定 (影響度40%)
②何を? オファー(言及要素):訴求ポイントやインセンティブ (影響度40%)
③どのように? クリエイティブ:キャッチコピーやデザイン (影響度20%)

広告だとクリエイティブの影響がいちばん大きいのでは?と思いがちですが、レスポンス広告は違います。 確かに、テレビのブランドCMなどはおそらくクリエイティブの良さが50〜70%ぐらいの影響を与えるでしょうが、 レスポンス広告は「誰に、何を伝えるか」がレスポンスの80%に影響します。

レスポンス広告のポイントがわかったところで、ここからはどのようにテストしていくかをご紹介します。

テスト例:60代主婦の新規獲得

たとえば、60代主婦に商品を売るケースでは、どんなアプローチが最もレスポンスが良いかを検証するために、メディアとオファーのテストを同時期に分けて実施しました。メディアテストでは、「折込みチラシ」を主軸に、フリーペーパーと新聞夕刊の3種類を比較。ターゲットがどのメディアに最も反応するかを検証しました。一方で、もっとも効果的なオファーを探るために、折込みチラシのみでオファーテストも実施。オファーAを主軸にBとC、どれがいちばんレスポンスを獲得できるかを検証しました。その後、それぞれのテストで一番レスポンスが良かったもの同士を組み合わせて、ロールアウト。勝ちパターンとして、集中投下しました。このようにテストプログラムは、効果的なコミュニケーション活動を探るための調査です。だからこそ、なんとなく並べるのではなく、仮説をもとに代案を設定することが大切です。

テストとロールアウトの重要性

テスト例:既存顧客維持

続いて、既存顧客に対するテスト例です。仮に、自社に80万件のデータがある場合、それを3つにセグメント。 そして、5000件ずつテストしていきロールアウトすると、このような流れになります。

テスト例:既存顧客維持

テスト⇄ロールアウトを繰り返すことで、戦略・戦術を強化していけます。

ご存知の通り、CRMは効果測定ができます。 だからこそ、レスポンスをもとに、戦略を組み立てる。 そして、戦術として施策に落とし込み検証。修正していく。このようにPDCAをまわすことで、費用対効果を高めていけます。

テストとロールアウトによるPDCA

コミュニケーションプランニングの決め手は、緻密な「検証」です。

レスポンス率やCPO(コストパーオーダー)といった定量的な指標はもちろん、 アンケートなどを通して顧客の深層心理であったり、購入の決定的要因「KBF(キーバイファクター)」を検証することも重要です。 その結果を、プロモーションや、あるいはマーケティングの4Pに反映させることができるからです。

テストプログラムでの検証項目 テストプログラムでの検証項目

本日の5つのポイント

最後に、本日お話ししました「顧客の琴線に触れるCRM」をおこなう際の重要ポイントをまとめました。 ご確認ください。ご静聴ありがとうございました。

本日お伝えしたい5つのポイント

講演日:2017年6月6日・16日



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【講師プロフィール】

講演者:株式会社インターコネクト
スーパーバイザー 鈴木 準

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