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今日は、最先端撮影デバイス「全天球カメラ RICOH THETA」において、どのように世の中に向けてプロモーション施策を行ったか、また今後どのように展開すべきかを皆さんにお話ししたいと思っております。
私は現在、新規事業開発本部SV事業開発センターVR事業室という部署におりますが、よく「VRとは何ですか?」というご質問を受けます。それは、今流行のヴァーチャルリアリティではなく「ヴィジュアル・レボリューション」の略で、私たちのミッションを部署名に掲げたものです。”人々の見え方の世界を変えたい”という想いで、2013年からRICOH THETAの開発とプロモーションに取り組んでおります。
まずは、簡単にTHETAのテクノロジーについてお話をしたいと思います。
Milky Way from an Norikura Observatory in Mt. Marishiten-dake, Japan - Spherical Image - RICOH THETA
360°カメラがない時代、全天球画像を撮るには、特殊な撮影システムや、膨大な編集作業が必要でした。でもTHETAなら、撮影者を取り囲むすべての空間をワンショットで簡単に、小型カメラで撮影可能です。ただしモニターがないので、Wi-Fiでつないだスマートフォンなどで映像を見ることになります。
撮影した静止画や動画は、スマホやPCのアプリケーションからSNSに360°映像のまま投稿することができます。たとえばFacebookに投稿した場合でも、ジャイロセンサーでグルグル回して360°見ることもできるのです。
もちろんLIVE STREAMINGも配信可能です。
では、なぜ360°の画像が撮影できるのか?
THETAは”超小型かつ超広角”のレンズをカメラの前面と背面にそれぞれに配置して、2つの90°プリズムにより左右のイメージセンサーに振り分けるという独創の設計をしました。さらにハード面だけではなく、ソフトの技術も優れています。
全天球動画は前後それぞれのカメラで撮られた360°の丸い魚眼の映像が2つつながっていますが、それだけだとビューワーを使っても360°で閲覧できません。しかし、2枚の映像を組み合せてステッチングし、世界地図と同じ正距円筒図法を使えば、360°の映像に仕上がるのです。THETAはそれまでのカメラ市場に全くない、新しい映像体験を提供するものとして、2013年に初号機が誕生しました。
次に、初号機を市場に出していくまでのプロモーション施策について、失敗と成功例を交えながらご説明します。
CADUとは「クリエイティブな先進デジタルユーザー」のことで、
人々を指します。
市場調査の結果から、この「CADU」をメインターゲットに設定し、北米、欧州、日本で戦略を立てていくこととなりました。
WEBの場合
発売された2013年は、まだFacebookやYouTubeが360°画像に対応しておらず、まずはtheta360.comのWEBサイトに投稿してもらい、SNSにシェアしたい場合は、theta360.comのWEBサイトのリンクがFacebookやTwitterのタイムラインに出る仕組みにしました。ただ、情報量が膨大なこの時代に、なかなかリンクを踏んでもらうことが難しく、そのうえ画像が360°見られるということが、一般の消費者にも理解しづらかったようで、「見にくい」「見方が分からない」というコメントがありました。
イベントの場合
六本木やニューヨークなどCADUが集まりそうな場所で、SNSでの画像拡散を狙った撮影体験コーナーなどを行いましたが、一時的なWEBのアクセスの伸びがあっただけで、大規模な情報拡散やユーザーの購買意欲向上にはつなげられませんでした。
そこで、私たちはそもそも市場調査の数字を元につくった「CADUをターゲットにする」ことと、実際にささるターゲットに大きな”ずれ”があったのではないか? と考えたのです。
なぜなら日本ではCADUではない「ガジェッター層」や「開発者層」、北米では「VRフリーク」の方々に反応が起きたからです。最新機器テクノロジーに関心がある彼らは、こちらからアプローチしなくても、向こう側からグイグイきてくれたのです。
上記の層以外にも、SNSなどの「コミュニケーション重視層」、つまりクリエイティブではなく「生活シーンを撮影するデジタルネイティブ」な人々に押していこうと、ターゲットのシフト転換を図りました。
新たにターゲットとした「コミュニケーション重視層」へは、「潜在ユーザーへの認知活動」、「ユーザーのファン化促進」、「ファンからの発信を創出」という3つの点を重視して、施策に盛り込みました。
まずは、自分がハマっているものや趣味を映像に残すことに関心がありそうなターゲットにリーチ。それらのイベントに幅広く露出し、認知してもらえるような戦略を立てました。
たとえば、
そのほか、ゲーム系、音楽系、ビデオ系、アウトドア系、ファッション系などのイベントに露出しました。
露出だけではなく、ファンをつくりコミュニティを成長させていくことにもフォーカスしました。「おもしろそうだと思ってTHETAを購入したけれど、今は家で埃をかぶっています…」という悲しいコメントも、最初の頃聞いたことがありまして。これをどうにかしなければならないと思ったのです。
メーカーとして撮影と共有の仕組みを作るだけではなく、ユーザーが楽しむツールを使ってコミュニケーションすることでどんどんホットになっていく”コミュニティづくり”も重要だと思い、日本ではまだまだアカウントを持つ企業が少なかった2014年にInstagramのアカウントを開設いたしました。
とはいえ、Instagramには、360°映像にもかかわらずグルグル回しても見られないという大きなデメリットがあります。だったら、このデメリットをメリットに変えることにしたのです。360°映像の一部を切り出してしまえば、「見せたい所はここです」と撮影者側が閲覧者にアピールできますし、「360°画像をどうやって見ていいか分からない」という悩みにも対応できるからです。
アカウント開設当初、一方的なメーカー側の情報発信ではなく、相互にTHETAの利用シーンを提案する場所を設けようという主な目的がありました。THETAの使い方は未知数で、最初からメーカー側もユーザーと一緒に使い方を探求していきたいという想いがあり、新しいTHETAの使い方をどんどん発掘していきたかったのです。
中にはどうやって撮ったの? と私たちがビックリするようなユーザーの作品も多数あり、素敵な作品については「どういう使い方をするのですか?」と互いにコミュニケーションしているユーザーも数多くいましたので、狙いとはしては成功したわけです。
さらにすばらしい作品を作る方にアプローチして、画像の制作依頼にも取り組みました。今弊社が出しているクリエイターさんによるコンテンツのほとんどは、こちらからSNS上でコンタクトをとって撮影していただいた画像です。
また、2015年秋には、360°の映像を面白い形に切り取って投稿するための編集アプリツールを提供しました。プラットフォームはFacebookやYouTubeだけではなく、Instagramや好きなSNSに投稿してLINEで共有するなど、それらが実現可能なアプリもリリースしていきました。
ちなみにRICOHが作成した公式の「#theta360」では、今日の時点で7万件の投稿がされています。それに併せてコンテストの定期開催も行い、「#theta360contest」で、作品を投稿していただいています。
ハッシュタグを活用した画像拡散 #theta360
コンテストの定期開催 #theta360contest
2014年にはiOS/Androidともに多数のTHETA関連アプリがリリースされました。たとえば、画像を3枚即時に勝手に撮ってくれるものがあり、それを合成すると、画像から消したい人が居なくなっているというアプリも、非公式ながら出ています。ユーザーにとっても開発者にとっても、楽しみ方が広がるようなプロモーションです。
また、VR関連の市場は、昨年から徐々に伸びており、2025年には800億ドルまでに達すると予測されております。
VRプラットホームも次々に立ち上がっており、たとえば、
などがスタートしました。
2015年と2016年は、THETAもプロモーションをたくさん仕掛けました。アメリカでは2015年から「Virtual Reality Expo」が続々と開催されていて、潜在ユーザーへの認知活動として定期的に出展をしています。さらに、VRと親和性の高いガジェット系のイベントにも多数出展しております。
最後に、現在のTHETAのプロモーションとしての課題についてお話しします。
私たちは360°カメラ市場での「トップブランドポジションの確立」と「ターゲットの拡大」を、マーケティングとブランディングの両面から考えています。
マーケティングの課題
市場の活性化を機に販売数No.1を確保し、一般層(Early Majority)のバリアを払拭することで業績を拡大したいと考えています。
ブランディングの課題
360°カメラの先駆者としての地位を確保し、キャプチャリングの技術力を訴求することで、ブランド強化につなぎたいと思っております。
これらコミュニケーション施策により多くの認知を獲得し、見込みユーザーを発掘して販売につないでいきたいですね。
ご清聴、ありがとうございました。
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